惑星のかけら (アルバム)

スピッツ 3rdアルバム『惑星のかけら』

1992年9月26日にリリースされた、スピッツの3枚目のオリジナルアルバム『惑星のかけら』。前作『オーロラになれなかった人のために』のオーケストラサウンドから一転、グランジ色の強い、歪んだギターサウンドが特徴的な作品です。

アルバムの概要

前作の反動から、よりロック色の強いサウンドを追求した本作。メンバーは、「音のエコー感は前作での経験を活かせた」と語っています。ボーカルの草野マサムネは、作詞の際にイメージと出来上がった言葉とのギャップに悩んでいた時期だったそうです。エンジニアには、インディーズ時代のアルバム『ヒバリのこころ』を手掛けた牧野英司が再び起用されました。

ジャケットカバーモデルの少年は吉田健吾で、CDでは「Special Thanks」としてクレジットされていますが、1997年発売のアナログ盤では「Cover Model」としてクレジットされています。また、ジャケット裏のメンバー写真は、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのアルバム『イズント・エニシング』のジャケットを意識したものです。

オリジナル盤は現在廃盤となっていますが、2002年にLAのエンジニア、スティーヴン・マーカッセンによるリマスタリングが施され再発。音楽評論家小野島大によるライナーノーツが封入されています。さらに2008年にはSHM-CDとしても再発売されました。

収録曲と解説

1. 惑星のかけら
- 4thシングルにもなったタイトルチューン。原曲のキーはFですが、ライブではGで演奏されます。

2. ハニーハニー
- それまで避けていた英語詞を導入した楽曲。草野は「踏み絵を踏むような気持ちだった」と語っています。辺見えみりが1996年のアルバム「流れ星」でカバーしました。

3. 僕の天使マリ
- 草野曰く「ジッタリン・ジンに影響されて作った曲」。バンジョーを取り入れ、カントリー風にアレンジされています。

4. オーバードライブ
- ハードな曲調ですが、終盤でサンバのリズムとコーラスが入ります。メンバーは「カッコよく決めようと思ったのに、可愛くなってしまった」と語っています。

5. アパート
- 失恋を歌った曲。アマチュア時代の代表曲「泥だらけ」が原曲と言われていますが、ほとんど原形をとどめていません。

6. シュラフ
- シュラフは寝袋の意味。フルートが使用されています。この曲のみ『オーロラになれなかった人のために』の長谷川智樹との共同アレンジです。

7. 白い炎
- 手拍子も入ったノリの良い曲。歌詞中の「GAS」は歌詞カードではタンクローリーのような絵の中に書かれています。

8. 波のり
- メンバーは「惑星のかけら」のカップリング「マーメイド」と入れ替えようとしましたが、最終的にこの曲が収録されました。ベンチャーズ風のギターサウンドが特徴的です。

9. 日なたの窓に憧れて
- 後に5thシングルとしてリカットされました。シーケンスは草野の発案です。

10. ローランダー、空へ
- ローランダーとは低地に住む人の意味です。

11. リコシェ号
- インストゥルメンタル。元々は歌ものでしたが、草野の「この曲インストでもいいかも」という一言でインスト曲になりました。「ゴーゴーゴーリコシェ」という歌詞がわずかに含まれています。P-MODELのことぶき光がシンセサイザーで参加しています。

アナログ盤

1997年5月5日にSpitz Analog Disc Collection Vol.5としてアナログ盤がリリースされました。Spitz Analog Disc Collectionシリーズでは唯一のブラック・ビニール仕様で、根本敬によるオリジナルコミックが収録されています。最初の3曲「リコシェ号」「日なたの窓に憧れて」「惑星のかけら」は曲間がなく繋がっており、「僕の天使マリ」の出だしのSEと「波のり」の出だしのカウントはカットされています。

演奏メンバー

草野マサムネ：Vocals, Guitars Harmonica, Samba Whistle
三輪テツヤ：Guitars, Banjo
田村明浩：Bass
崎山龍男：Drums, Percussion
長谷川智樹：Acoustic Piano (6), Hammond Organ (11)
古村敏比古：Flute (6)
ことぶき光：Analog Synthesizer (7.11)
寺本りえ子：Backing Vocals (3.4.11)

参考資料

MdN編集部『スピッツのデザイン』エムディエヌコーポレーション、2018年。ISBN 9784844367109

関連情報

スピッツ
* 1992年の音楽

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