慈恩寺 (さいたま市)

華林山 慈恩寺

慈恩寺は、埼玉県さいたま市岩槻区大字慈恩寺に位置する天台宗の寺院です。山号を華林山、院号を最上院と称し、ご本尊には千手観世音菩薩をお祀りしています。この寺は、坂東三十三観音霊場の第12番札所として、多くの巡礼者や参拝者を集めています。また、寺の名称は、周辺の大字慈恩寺という地名にもその名を残しています。

ご本尊とご真言、ご詠歌

ご本尊である千手観世音菩薩の御真言は「おん ばざら たらま きりく そわか」です。また、巡礼の際に唱えられるご詠歌は「慈恩寺へ詣る我が身もたのもしや うかぶ夏島（げじま）を見るにつけても」と詠まれています。

歴史

慈恩寺は、天長年間（824年 - 834年）に円仁によって開山されたと伝えられる、由緒ある古刹です。1590年（天正18年）に関東に入部した徳川家康は、翌年の1591年（天正19年）に寺領を寄進しました。江戸時代に入ると、江戸幕府や岩槻城主からも厚い帰依を受けました。

太平洋戦争中の1942年（昭和17年）12月、日本軍が南京で発見した玄奘三蔵の遺骨の一部が、戦後この慈恩寺に奉安されることになりました。1953年（昭和28年）5月には、十三重の花崗岩で組まれた霊骨塔「玄奘塔」が建立されました。その後、1955年（昭和30年）には日台友好のために台湾へ分骨され、現在は日月潭の玄奘寺に奉安されています。さらに、1981年（昭和56年）には、玄奘の属する法相宗の薬師寺にも分骨され、現在は境内の玄奘三蔵院に安置されています。

文化財

慈恩寺には、さいたま市指定有形文化財として、以下の二つが指定されています。

南蛮鉄灯籠：1960年（昭和35年）4月1日に指定された工芸品です。天正17年（1589年）に伊達与兵衛房実によって寄進されたもので、当時の貴重な技術が用いられています。
慈恩寺文書：1974年（昭和49年）9月26日に指定された古文書です。寺の歴史や運営に関する貴重な記録が残されています。

交通アクセス

慈恩寺へのアクセスは以下の通りです。

鉄道：東武野田線「豊春駅」下車後、徒歩約25分。
バス：東武野田線「東岩槻駅」北口から、さいたま市コミュニティバス「慈恩寺観音行き」に乗車し、終点で下車。

坂東三十三観音霊場

慈恩寺は、坂東三十三観音霊場の札所の一つであり、以下の札所と隣接しています。

第11番札所：安楽寺（埼玉県吉見町）
第12番札所：慈恩寺（埼玉県さいたま市岩槻区）
第13番札所：浅草寺（東京都台東区）

その他の情報

大慈恩寺：中国陝西省西安市にある寺院で、玄奘三蔵ゆかりの寺として慈恩寺と共通点があります。
中西悟堂：15歳の時に慈恩寺で百八日間の四度加行を修めた人物です。

関連情報

慈恩寺公式サイト
坂東札所会サイト
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慈恩寺は、歴史と文化が息づく、訪れる価値のある寺院です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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