成侯 (趙)

成侯（せいこう）

成侯は、生年不詳ながら紀元前350年に没した、戦国時代の趙の君主です。諱は種といい、敬侯の子として生まれました。紀元前375年、父である敬侯の死に伴い、趙侯の位を継承しました。

即位初期の動乱と対外戦争

成侯の治世は、国内の動乱と周辺諸国との激しい戦いの連続でした。紀元前374年には、公子勝が侯位を求めて反乱を起こしましたが、これを鎮圧。紀元前372年には、大戊午を宰相に任用し、国政を安定させました。同年、衛を攻撃して73の郷邑を奪うなど、積極的に領土拡大を図りました。しかし、魏との戦いでは藺で敗北を喫するなど、苦戦を強いられる場面もありました。

領土拡大と外交戦略

成侯は、領土拡大のため、周辺諸国との戦いを続けました。紀元前371年には秦軍を高安で破り、紀元前370年には斉軍を鄄で攻撃するなど、積極的に軍事行動を展開しました。また、外交戦略にも力を入れ、鄭を攻め落としてその地を韓に与える代わりに、韓から長子を割譲させるなど、巧みな外交手腕を発揮しました。

紀元前369年には、魏を攻撃して魏の恵王を包囲するなど、魏との関係は常に緊張状態にありました。紀元前368年には斉に侵攻し、長城まで到達。韓と連合して周を攻撃し、紀元前367年には周を分割しました。また、紀元前366年には斉と阿下で戦い、紀元前365年には衛から甄を奪うなど、領土拡大への執念を見せました。

魏との攻防と対秦戦

紀元前364年、秦が魏を攻撃した際には、成侯は軍を石阿に派遣して魏を救援。紀元前363年にも、秦が魏の少梁を攻撃した際にも同様に魏を助けました。しかし、紀元前362年には、魏軍に澮で敗れ、皮牢を奪われるなど、苦戦を強いられました。その後、韓の昭侯と上党で会合し、紀元前361年には韓とともに秦を攻撃しましたが、秦との関係は常に緊張状態にありました。

同盟関係と勢力拡大

紀元前360年、成侯は魏を助けて斉を攻撃し、紀元前359年には、韓や魏と晋を分割し、晋君を端氏に封じました。紀元前358年には、魏の恵王と葛孽で会見するなど、周辺諸国との関係構築に努めました。紀元前356年には、斉の威王や宋公と平陸で会合し、燕の文公と阿で会合するなど、同盟関係を強化しました。紀元前355年には、魏から贈られた材木で檀台を建造しました。

晩年の苦難と邯鄲陥落

晩年には、魏との関係が悪化し、紀元前354年には魏軍が侵攻してきて趙の首都である邯鄲が包囲されるという危機に見舞われました。紀元前353年には、ついに邯鄲が陥落。しかし、斉軍が邯鄲救援のために出兵し、桂陵の戦いで魏軍を破りました。紀元前351年には、魏の恵王が邯鄲を返還し、成侯は漳水のほとりで盟を交わしました。また、同年には秦軍が趙の藺を攻撃するなど、周辺諸国との緊張関係が続きました。

紀元前350年、成侯は25年の在位の後、世を去りました。その治世は、領土拡大と激しい戦いの連続でしたが、趙の勢力拡大に大きく貢献しました。子には粛侯がいます。

参考文献
* 『史記』趙世家

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