成顕寺

成顕寺（じょうけんじ）

成顕寺は、千葉県流山市駒木に位置する日蓮宗の寺院です。山号は通法山と称します。この寺院は、江戸川大学のすぐ隣にあり、静かで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。もともとは真言宗の寺院である金胎山道場寺でしたが、鎌倉時代に日蓮宗に改宗し、その際に現在の成顕寺という名に改められ、現在の場所に移ったと伝えられています。

歴史

起源と龍神伝説

成顕寺の起源は、大同年間（806年～810年）に弘法大師の弟子である桂伝阿闍梨が、下総国戸張郷（現在の柏市戸張）の沼地に潜む龍神を秘術で鎮めたことに始まります。その後、その場所に道場寺が建立され、龍神は「風早明神」として祀られるようになりました。これが成顕寺の前身とされています。

日蓮宗への改宗

建治年間（1275年～1278年）、日蓮の弟子である日朗が道場寺で2人の僧侶と法論を行い、その結果、僧侶たちが自害したと伝えられています。この出来事がきっかけとなり、道場寺は日蓮宗に改宗し、現在の場所に移転しました。また、別説では、龍神が疫病を流行させた際、日朗が法華経の力で龍神を改心させ、疫病を鎮めたため、地域住民が日蓮宗に改宗したとも言われています。この時、龍神は「妙法諏訪大明神」と呼ばれるようになりました。

成顕寺の成立

日朗から御本尊を授かった大檀越の高市家が、その土地に寺院を建立したのが成顕寺の始まりとされています。この地域には、同じく高市氏の子孫である高階氏によって創建された諏訪神社があり、成顕寺は古くから諏訪神社の別当寺として深く関わってきました。また、源頼朝が松の木に鞍を掛けたという逸話から、龍神は「鞍懸大龍王」とも呼ばれるようになりました。この逸話は、源義家が諏訪神社の境内で鞍を木に掛けたという伝承と類似しています。

神仏分離

神仏習合の時代には、成顕寺は駒木諏訪神社の奥の院として機能していましたが、明治初期の神仏分離令により、神社と寺院は分離されました。

境内

成顕寺の境内には、以下のような堂宇や施設があります。

本堂: 寺の中心となる建物。
龍王堂（龍王殿）: 行基作と伝わる鞍懸大龍王像（諏訪霊像）が安置されています。この像は日朗によって開眼されたと伝えられています。
福聚堂（大黒堂）: 大黒天を祀るお堂。
七面大明神: 七面大明神を祀るお堂。
弁天堂: 弁才天を祀るお堂。成顕寺の弁才天は流山七福神の一つに数えられています。
稲荷堂: 稲荷神を祀るお堂。
水神舎: 水神を祀るお堂。
釈迦堂会館: 法要や会合などに使われる施設。
流山人形供養の碑: 人形供養を行うための碑。

文化財

成顕寺には、以下の文化財が所蔵されています。

鰐口: 流山市指定有形文化財第3号。龍王堂正面に掛けられた鋳銅製の大型鰐口で、文政7年（1824年）の銘があります。直径は約90センチと大きいです。
紙本著色釈迦涅槃図: 流山市指定有形文化財第25号。宝暦10年（1760年）に成顕寺第19世・妙宇院日性の時、日暮東雲という人物によって描かれた涅槃図です。

年中行事

成顕寺では、年間を通じて様々な行事が行われています。

新年祈祷会: 1月1日～3日。
諏訪大明神小祭: 1月23日。
節分会: 2月3日。
初午法楽祭: 2月初午の日。稲荷神の縁日。
釈尊涅槃会: 2月15日。
釈尊降誕会: 4月8日。
大黒天神法楽大祭: 春の甲子の日。大黒天の縁日。
諏訪大明神小祭: 5月23日。
大施餓鬼会: 8月16日。
諏訪大明神大祭・諏訪霊王大祭: 8月22日・23日。諏訪明神の正当な縁日で、諏訪神社の神幸祭と例祭が同日に行われます。22日の夕方には、諏訪神社から成顕寺へ向かう萬灯練行列が見られます。
宗祖御報恩会: 10月13日。日蓮宗の宗祖である日蓮の命日に合わせて行われる法要。

交通アクセス

電車: 東武鉄道野田線豊四季駅より徒歩約15分、つくばエクスプレス・東武鉄道野田線流山おおたかの森駅より徒歩約25分。
バス: JR常磐線・東武鉄道野田線柏駅より東武バス「国立がん研究センター」行き、「県民プラザ」行き、「柏の葉キャンパス駅西口」行き、「高田車庫」行きで「梅林」停留所下車、徒歩約8分。または、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅西口より東武バス「柏駅西口」行きで「梅林」停留所下車、徒歩約8分。

外部リンク

成顕寺公式サイト

成顕寺は、歴史と文化、信仰が深く結びついた寺院です。訪れる際には、その豊かな歴史と文化に触れてみてください。

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