房総往還

房総往還（ぼうそうおうかん）

房総往還は、千葉県船橋市宮本から館山市宮城に至る、内房地域を縦断する主要な街道です。房州道、上総道、房総西街道など、地域や時代によって様々な別名で呼ばれてきました。江戸時代初期に成立し、房総半島の生活や物資輸送を支える重要な役割を担いました。

概要

房総往還は、現在の国道や主要地方道にその多くが引き継がれています。船橋市、千葉市、市原市、館山市など多くの市町村を経由し、千葉県の内房地域を南北に結ぶ大動脈としての役割を果たしました。江戸時代には、外房の伊南房州通往還、銚子街道、成田[[街道]]とともに、房総半島の生活・輸送路として重要な位置を占めていました。

この街道は、古くは「房州道」と呼ばれ、上総国の中心部を指して「上総道」や「木更津道」、中世には鎌倉への道として「鎌倉道」と記録されたこともありました。江戸幕府の成立後は、江戸の開発に伴い、船橋から江戸側は「行徳道」や「江戸道」と接続し、小松川を経由して浅草や日本橋に繋がっていました。

現在、東京都江戸川区の「東小松川」交差点から千葉県千葉市中央区の「広小路」交差点までは、千葉県道路愛称名により「千葉[[街道]]」として一体的に扱われています。この区間は、「行徳道」と「房総往還」の一部（江戸川区「八蔵橋」から船橋市宮本、千葉市登戸付近まで）を合わせたものです。しかし、「広小路」交差点以南は正式な愛称名が付けられていません。

房総往還は旧市街地を通るため、道幅が狭く、歩道がない箇所がほとんどです。特に木更津以南の山岳地域では、道が狭く、輸送には船が利用されることが多かったとされています。船橋や千葉のような古くから栄えた地域では、藩が街道の維持管理を行っていましたが、湊や勝山のような山岳地域では、地元の住民が舗装を維持していました。

明治時代以降、トンネルが設置され馬車などが通行できるようになりましたが、現在では多くが廃止され、明治期の線形に沿って国道127号が建設されています。また、元禄地震や関東地震などの影響で、道順が大きく変化した場所も多く、正確な痕跡が残されていない箇所も存在します。

明治期以降は、軍事的な役割も担うようになり、国道として整備が進められました。内房線とともに、その重要性は増し、木更津市桜井や君津市南子安、富津市亀沢を経由する街道が「房総西街道」として指定されました。太平洋戦争後には、自動車の普及に伴い、海岸線沿いにあった街道が整備され、船橋・習志野・千葉・市原の海岸が埋め立てられたことで、現在のバイパス[[道路]]（国道357号東京湾岸道路と国道16号東京環状道路）が建設されました。現在では、各地で「現在の国道」と「千葉[[街道]]」、旧街道として残る「房総往還」が入り乱れている状況です。千葉中央区では、県内各地に繋がる多くの街道と接続しています。

当項目では、江戸幕府成立後の近世以降の房総往還について記述します。

路線データ

房総往還
起点：千葉県船橋市宮本5丁目「大神宮下」交差点
終点：千葉県館山市宮城「宮城」交差点
総延長：116.4km
現道：104.1km
旧道：12.3km
消失延長：不明

新道（房総西街道）
起点・終点：房総往還と同一
分岐地点：千葉県木更津市桜井
合流地点：千葉県富津市亀沢
延長：13.2km
総延長：117.3km
経由地：木更津市桜井 - 下烏田 - 畑沢 - 君津市南子安 - 外箕輪 - 郡 - 小山野 - 富津市上 - 亀沢

路線状況

起点の船橋市宮本5丁目「船橋大神宮下」交差点では、東船橋駅方面に成田[[街道]]・東金御成[[街道]]が分岐します。その後、千葉[[街道]]として国道14号を習志野方面に進むと、京葉道路幕張ICに至ります。県道57号方面に分岐し、幕張町付近で街道は逸れます。京成[[幕張駅]]付近のアンダーパスにより一部が途切れます。

花見川区検見川町付近では、古代の街道と中世以降の街道が混在し、稲毛区はなえの公園付近では一部が途切れています。稲毛浅間神社手前に出ると、穴川方面に至り、県道134号、県道133号を進み、「園生十字路」で県道72号旧道を進むと、「稲毛区役所前」に出ます。その後直進すると「天台駅」に出て、国道126号を進みます。東千葉駅付近で分岐しますが、街道跡は駅となっており通行できません。「院内小学校入口」で再び国道126号と合流し、「広小路交差点」に出ます。この交差点では、佐倉[[街道]]、「大和橋」交差点では銚子道、「県庁前駅」交差点では大網街道と接続しています。

「港町」交差点以降は、国道357号（東京湾岸道路）と並行して市街地を通過し、旧生浜町中心街の県道66号の「浜野」付近に出ます。ここで伊南房州通往還と分岐します。直後の村田川で下総国から上総国に入ります。

それ以降は国道16号と並行し、内房線と共に市街地を通過、県道24号、県道287号、県道87号、県道270号を経由します。「県道長須賀」付近で木更津駅方面に曲がり、木更津以南では再び国道16号と並行しますが、「畑沢」付近で曲がると消失区間となります。君津駅を過ぎると県道157号と重なりますが、農道と分岐し、富津聖苑付近から消失区間となります。「亀沢」付近で国道127号が踏襲し、佐貫町駅で県道256号が踏襲します。富津市上総湊駅付近から南房総市富浦町多田良までは国道127号がほぼ踏襲し、そこから終点までは県道302号と国道410号が市街地を通過します。

地理

通過する自治体

千葉県船橋市 - 習志野市 - 千葉市美浜区 - 花見川区 - 稲毛区 - 中央区 - 市原市 - 袖ケ浦市 - 木更津市 - 君津市 - 富津市 - 安房郡鋸南町 - 南房総市 - 館山市

交差する交通網・構造物

（具体的な情報は原文を参照）

房総西街道