携帯電話の周波数帯

携帯電話の周波数帯とは

携帯電話の周波数帯とは、携帯電話が通信を行うために使用する電波の周波数の連続した範囲を指します。これは、特定の通信技術（例：LTE、5G）が利用する周波数範囲を示し、国や地域、通信事業者によって割り当てられる帯域幅や使用する規格が異なります。

周波数帯、バンド、帯域幅の違い

周波数帯（Frequency band）は、特定の目的のために割り当てられた周波数の範囲全体を指します。例えば、「700MHz帯」や「2GHz帯」といった表現がこれに当たります。

バンド（Band）は、周波数帯をさらに細かく区分したものを指すことが多く、技術仕様や通信規格において特定の周波数範囲を指す際に用いられます。例えば、LTE Band 1、Band 3などが該当します。

帯域幅（Bandwidth）は、特定の周波数範囲が実際に利用できる幅を指し、単位はヘルツ（Hz）で表されます。通信事業者が特定の周波数帯の中でどの程度の幅を割り当てられているかを示し、帯域幅が広いほど一度に多くのデータを送受信できます。

日本における周波数帯

日本では、総務省が電波の利用を管理しており、携帯電話用に複数の周波数帯が割り当てられています。これらの周波数帯は、技術の進化や需要に応じて再編されることがあります。主な周波数帯は以下の通りです。

700MHz帯: 「プラチナバンド」とも呼ばれ、電波が遠くまで届きやすく、建物内での電波の回り込みにも優れています。主にLTEや5Gに使用されています。
800MHz帯: 700MHz帯と同様に電波の到達性に優れており、広範囲なエリアカバーに貢献しています。
1.5GHz帯: LTEや5Gの通信に利用されています。
1.7GHz帯: LTEや5Gの通信に利用されています。
2GHz帯: 比較的に古くから利用されている周波数帯で、LTEや3Gで使用されてきました。
3.5GHz帯: 5Gの主要な周波数帯の一つで、高速通信を実現しています。
4.5GHz帯: 5Gの高速通信に利用されています。
28GHz帯: 5Gのミリ波帯で、超高速・大容量通信を実現しますが、電波が届く範囲は狭いです。

各通信事業者は、これらの周波数帯の一部を割り当てられており、それぞれのネットワークを構築・運用しています。割り当てられた帯域幅は事業者ごとに異なり、サービスエリアや品質に影響を与えます。

海外における周波数帯

海外では、国や地域によって携帯電話に使用される周波数帯が異なります。例えば、ヨーロッパでは700MHz帯、800MHz帯、1.8GHz帯、2.6GHz帯などがLTEや5Gに使用されています。アメリカでは、700MHz帯、850MHz帯、1.7GHz帯、1.9GHz帯などが利用されています。また、5Gでは各国共通の周波数帯の利用が進められていますが、一部地域では独自の周波数帯も利用されています。このため、海外で携帯電話を使用する際には、対応周波数帯を確認する必要があります。

関連技術

W-CDMA: 3Gの通信方式の一つで、広く普及しました。日本ではFOMAとしてサービス提供されました。
CDMA2000: 同じく3Gの通信方式の一つで、主に北米で利用されました。
LTE（Long Term Evolution）: 4Gの通信方式で、高速なデータ通信を可能にしました。LTEバンドは、各周波数帯ごとに番号が付けられています。
TD-LTE: 時分割複信方式を用いたLTEで、主に中国などで利用されています。
WiMAX 2+: 高速通信サービスを提供する無線通信技術の一つです。
AXGP（SoftBank 4G）: ソフトバンクが提供する高速データ通信サービスです。
5G新無線周波数帯: 5Gのために新たに割り当てられた周波数帯で、より高速・低遅延・大容量の通信が可能です。ミリ波帯も含まれます。
グローバルバンド: 世界中で使用できるように統一化が進められている周波数帯のことです。国際ローミングをする際に、対応端末であれば世界中の多くの場所で使用できます。

まとめ

携帯電話の周波数帯は、携帯電話が通信を行う上で非常に重要な要素です。技術の進歩や市場のニーズに合わせて周波数帯の利用状況は変化しており、これらの情報を理解することで、携帯電話の通信技術についての理解を深めることができます。

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