2GHz帯

2GHz帯：携帯電話サービスを支える周波数帯

2GHz帯は、1920～2200MHzの周波数範囲を指し、波長はおよそ15cmです。一般的には「IMT-コアバンド」または「2.1GHz帯」と呼ばれ、世界中で携帯電話サービスをはじめとする様々な無線通信に使用されているグローバルバンドです。

携帯電話サービスにおける利用状況

日本では、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI（au）の3社が、3Gサービスや4G LTEサービスの主要な周波数帯として2GHz帯を利用しています。 各社はそれぞれ異なる周波数帯域を割り当てられており、サービス開始時期や技術方式も異なっています。

具体的には、NTTドコモはFOMAやXiサービスで、ソフトバンクはSoftBank 3GやSoftBank 4G LTEサービスで2GHz帯を利用してきました。KDDI（au）はCDMA 1X WIN（後のau 3G）やau 4G LTEで利用しており、CDMA2000方式を採用している場合は3GPP2が策定したBand Class 6に該当します。 当初、各社の3Gサービス開始において、2GHz帯の利用状況は大きく異なっていました。NTTドコモとソフトバンクは2GHz帯を3Gサービスのメインバンドとして採用した一方、KDDI（au）は既存の800MHz帯をメインバンドとして利用し続けました。これは、各社が既存のインフラをどのように活用していくかという戦略の違いによるものです。

2GHz帯の歴史

2GHz帯は、初期は公共業務や電気通信業務の固定無線通信に使用されていましたが、2002年11月末をもってその用途での利用は終了しました。その後、モバイル通信への活用が進み、2001年にはNTTドコモがW-CDMA方式によるFOMAサービスを開始し、2GHz帯をモバイル通信に本格的に導入しました。

以降、他のキャリアも2GHz帯を利用した3Gサービスや4G LTEサービスを開始し、現在では日本のモバイル通信インフラを支える重要な周波数帯となっています。 途中、アイピーモバイルがTDD方式の2GHz帯基地局免許を取得したものの、後に事業破綻し、免許を返上しています。また、PHSの制御チャネルとの干渉問題や、キャリア間の周波数割り当ての公平性を確保するための措置なども歴史の中に存在します。

2GHz帯の特性と800MHz帯との比較

2GHz帯は、800MHz帯と比較して、アンテナのサイズを小さくできるという利点があります。しかし、波長が短い分、物質への吸収率が高く、回折性が低いという特性も持ち合わせています。このため、ビルや山などの障害物によって電波が遮られやすく、屋内や山間部での電波伝搬特性は800MHz帯よりも劣ると言われています。

これは、電波の回折現象によるものです。波長が長い電波ほど回折しやすいため、障害物の陰にも回り込んで届きやすいのです。 800MHz帯の方が2GHz帯よりも波長が長いため、ビル陰や山間部でも電波が届きやすい傾向があります。 ソフトバンクの調査では、プラチナバンド（700MHz～900MHz帯）は、基地局のアンテナ条件が同じでも2.1GHz帯に比べて2倍の距離まで電波が届くとされています。

その他

海外では、2.1GHz帯（2100MHz帯、UMTSバンド1）は日本の2GHz帯とほぼ同義であり、UMTSローミング利用時の判断基準となります。また、米国T-Mobile USAのAWSバンド（バンド4）は1700MHz帯を下りの一部で2.1GHz帯を利用しており、日本の周波数帯域とは異なる点があります。

まとめ

2GHz帯は、日本の携帯電話サービスにおいて重要な役割を果たしている周波数帯です。その特性を理解し、各キャリアの周波数帯域の割り当て状況などを把握することで、より高度なモバイル通信サービスの理解につながります。 今後の技術革新や周波数資源の有効活用においても、2GHz帯は重要な役割を担っていくことが予想されます。

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