擬似パウロ書簡

擬似パウロ書簡についての詳細


擬似パウロ書簡、または第二パウロ書簡と呼ばれるこれらの文書は、キリスト教の聖書正典であるパウロ書簡の一部を構成しており、その著者が本当にパウロであるかどうかが高等批評において疑問視されています。これについて詳しく見ていきましょう。

真筆性の疑問


新約聖書の成立以来、多くの文書の真筆性について疑問は呈されていませんでした。しかし、18世紀末から始まった近代批判的聖書学の発展によって、真筆性に関する見解は大きく変化しました。これにより、パウロ書簡も疑問視されることが多くなりました。ただし、学者によって真筆性に関する見解は異なるため、詳細な説明は各書において行われています。真筆性が疑われる書簡は、擬似パウロ書簡やパウロの名による書簡と呼ばれています。

高い真筆性を保つ書簡


批判的聖書学の観点から見ても、真筆性が特に高いとされる書簡には以下の7つがあります。これらは部分的に後から改訂された可能性はあるものの、著者がパウロであると広く認められています。

これらは新約聖書の他の文書に関して一般的な伝統的著者説が否定されがちなことに対し、例外的に真筆性が認められています。

真筆性が低いとされる書簡


一方で、以下の4つの書簡は、教会の制度がパウロの死後かなり経ってから定まることを考慮しても、ほとんどのリベラルな研究者によって真筆性が疑問視されています。

これらの書簡は、パウロの著作としての特徴が薄いと考えられています。

判断が分かれる書簡


コロサイの信徒への手紙とテサロニケの信徒への手紙二は、真筆性について見解が分かれています。批判的聖書学者の中にも、これらがパウロによるものであると認める意見があります。

収集と正典化の過程


パウロの書簡は、個々の教会や信者へ向けて送られていました。その後の時代において、パウロ書簡の収集が組織的に行われたと考えられています。その重要な背景には、マルキオンの「正典」と、ムラトリ正典目録という文書が存在し、これらは新約聖書の成立に影響を与えました。特にマルキオンは、パウロ書簡を彼の正典として認めたことで、収集作業が始まり、2世紀の初めにはほぼ完了していたと考えられています。

参考文献



擬似パウロ書簡は、教会の歴史や新約聖書の構造を理解するうえで重要な役割を果たしています。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。