散髪脱刀令

散髪脱刀令について

散髪脱刀令（さんぱつだっとうれい）は、明治4年8月9日、太政官によって制定された法令です。この法令は、髪型や帯刀に関する規制を緩和し、特に華族や士族が刀を差さなくても良いとする内容を含んでいます。また、平民の帯刀に関しては、1871年2月16日に別途で禁止令が出されていたため、平民には帯刀が認められていませんでした。

この法令は「散髪制服略服脱刀共可為勝手事」と定められ、髪型について自由が与えられることを示しています。しかし、特定の礼服を着用する際には帯刀を行うことが求められているため、全ての状況下で自由というわけではありませんでした。

散髪文化の変化

幕末には洋式軍制の導入が始まり、髷を結わない「散髪」の風潮が少しずつ広まっていました。散髪脱刀令は、髷を強制的に廃止するものではなかったものの、法令に従って髪型の自由が認められることで、168年後の1873年3月には明治天皇が自ら散髪を行い、これに従う官吏や士族が増えました。これにより、散髪文化は急速に広まっていったのです。

とはいえ、散髪脱刀令が公布された後も、島津久光・忠義親子や榊原鍵吉のように従来通り髷を結った人々も存在しました。特に忠義は、大日本帝国憲法の発布式典に髷姿で出席し、岩倉具視もまた、岩倉使節団を率いる際には髷を結ったままでした。

地方の反発と一揆

改革を推進する県令が着任した地域では、髷が厳しく取り締まられることがありました。特に1873年には敦賀県（現在の福井県）で、散髪令に反対する約3万人が散髪と洋装の撤廃を求める一揆を起こし、結果として6人が騒乱罪で命を落とす悲劇も起こりました。この一揆は嶺北地方の坂井・大野地区や今立郡に広がり、政府に大きな衝撃を与えました。

女性に対する誤解

散髪脱刀令は男性の髪型を主に対象としていましたが、この法令が誤解を招く形で「女子も散髪すべき」とされることがありました。そのため、女性たちも男性同様に短髪にすることがあり、これを防ぐために1872年5月11日には東京府が「女子断髪禁止令」を発令しました。

このように、散髪脱刀令は日本の髪型文化に重要な影響を与えただけでなく、様々な社会的反応を引き起こしました。明治時代の流行や思想の変化を反映したこの法令は、今日においても日本の近代史を理解する上での重要なポイントとなっています。

まとめ

散髪脱刀令は、日本の近代化に伴う文化的変化の象徴であり、髪型と身だしなみに対する考え方を大きく変えるものでした。男女を問わず社会にさまざまな反響をもたらし、今の日本における髪型や服装に関する価値観にも影響を与えたと言えるでしょう。

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