新城郷

新城郷（シンチェン/しんじょう-きょう）

新城郷は、台湾東部、花蓮県に位置する郷です。1896年に発生した新城事件の舞台となったことで知られています。

地理

新城郷は、花蓮県の北部に位置し、北西は秀林郷、南は花蓮市と接しています。東側は太平洋に面しており、花蓮県内で最も面積が小さい郷鎮です。しかし、台湾の国防上重要な佳山空軍基地が秀林郷との境界にあります。地形は平坦で、三桟渓とスビキ渓が流れています。

歴史

新城郷の古名は、タロコ語で「タロワン」といい、漢人によって「哆囉満」または「倒咯満」と表記されていました。清朝時代の嘉慶年間、淡水庁の住民である呉全が農民を率いて入植を開始しました。しかし、先住民であるタロコ族の襲撃に遭い、入植者は耕地を放棄して南部に移住しました。1875年、福建陸路提督の羅大春が兵を率いて蘇澳から花蓮に至る道路を建設し、この地に城を築いたことから「新城」と名付けられました。

日本統治時代に入り、1896年には、日本人の原住民に対する対応への不満から新城事件が発生しました。1914年には、台湾総督の佐久間左馬太が軍隊を派遣してタロコ族を鎮圧し、花蓮港庁新城支庁が設置されました。その後、佐久間総督の功績を記念して、1920年の台湾地方改制の際に号の「研海」を採用して「研海支庁」と改名されました。1937年には「研海庄」と改称され、花蓮港庁花蓮郡の管轄となりました。戦後、「新城」の旧名が復活し、花蓮県新城郷として現在に至っています。

経済

新城郷の経済は、農業と漁業が中心です。農業では、耕地面積944ヘクタールで、住民の約3割が従事しています。主な農産物は、パパイヤ、トウモロコシ、イネ、サツマイモで、スイカ、スターフルーツ、バナナ、ブンタンなども栽培されています。

漁業は、小型動力漁船を使った近海漁業と定置網漁が中心です。主な漁獲物は、カツオ、ギンカガミ、カジキ、タチウオ、サメ、マンボウなどです。また、鰹節加工業者も2社あります。淡水魚の養殖も行われており、ティラピア、コイ、オニテナガエビなどが養殖されています。

第二次産業では、石材加工業が盛んで、花崗岩、大理石、蛇紋岩などの建材や、大理石、玉の工芸品が製造されています。

行政区

新城郷には以下の村があります。
新城村
順安村
嘉里村
大漢村
北埔村
康楽村

歴代郷長

新城郷の歴代郷長については、情報が限られています。

教育

新城郷には、以下の教育機関があります。

技術学院
大漢技術学院
高級中学
私立海星高級中学
国民中学
花蓮県立新城国民中学
花蓮県立秀林国民中学
国民小学
花蓮県立新城国民小学
花蓮県立北埔国民小学
花蓮県立康楽国民小学
花蓮県立嘉里国民小学

交通

新城郷には、台湾鉄道の駅、新城（太魯閣）駅があります。この駅は、太魯閣国家公園（太魯閣渓谷）に最も近い駅であるため、多くの観光客が利用しています。

観光

新城郷は、太魯閣渓谷への玄関口として、観光客に人気があります。主な観光スポットは以下の通りです。

太魯閣国家公園（太魯閣渓谷）
七星潭
七星柴魚博物館
新城亜泥鳳凰林
慈済静思精舎
原野牧場
新城老街
噶瑪蘭記念公園
楊英風記念公園
竜泉親水公園
園碩石翰石雕園区

日本との関係

2022年8月、先住民族アイヌが多数居住する北海道浦河町と友好協定を締結しました。同年12月には、郷長を含む代表団が浦河町を訪問し、交流を深めています。

脚注

新城郷についての詳細は、以下の外部リンクを参照ください。

外部リンク

公式ウェブサイト

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