新宿高速バスターミナル

新宿高速バスターミナルは、かつて東京都新宿区西新宿1丁目に位置し、京王電鉄バスが運営していたバスターミナルです。1971年 4月5日に開業し、2016年 5月8日に廃止されるまで、主に京王グループと中央高速バスなど共同運行会社の高速バスが発着していました。新宿駅西口に位置し、多くの人々が利用する交通の要所でした。

概要

1971年 4月5日、新宿駅西口の旧安田生命第2ビル（後のMY新宿第二ビル）1階に開設されました。このターミナルは、1階と2階に乗車券販売窓口、地下1階に待合室があり、売店やトイレも完備されていました。営業時間は朝5時台から夜23時過ぎまでで、ピーク時には10分間隔で高速バスが発着していました。1日の利用者は平均約9,000人、年間約330万人に達していました。

京王電鉄バスは、2000年11月にインターネット高速バスサイト「ハイウェイバスドットコム」を開設し、手動オンラインシステムを更新しました。2002年にはリニューアルを行い、発券カウンターや待合室の椅子が新しくなりました。また、電光掲示板やバリアフリー対応の多目的トイレも設置されました。1階では当日券を販売し、有人窓口と自動券売機が設けられていました。売店は京王リテールサービスが運営しており、PASMOやSuicaでの決済も可能でした。

ターミナルには京王電鉄バスの職員が勤務し、運行係や事務係、多数のアルバイトが雇用されていました。この場所は、バス業界で働く人々を育てる役割も担っていました。プラットホームには自動販売機や公衆電話が設置されていました。プラットホームの一部は隣接する小島ビル（後の新宿110ビル）にまたがっており、外観上は一体化されていました。

バスターミナルは、狭い路地に面したビルの1階に2台分のバスプールがあるだけで、バスは人混みを縫って慎重に発車していました。かつては3台分のバスプールがありましたが、小島ビルの建て替え工事により2台に減少し、さらに狭隘となりました。ヨドバシカメラ新宿西口本店などの周辺は人通りが多いため、警備員を配置して交通誘導を行っていました。

2010年にヨドバシカメラがMY新宿第二ビルを取得し、2011年にはみずほ証券新宿支店が移転し、跡地にヨドバシカメラの携帯電話・スマートフォン売り場が出店しました。小島ビルの建て替えにより、2013年には新宿110ビルがオープンし、1階と2階に新たなバス待合所が設けられました。

2016年 4月4日にバスタ新宿が開業したことで、このバスターミナルの発着路線は原則としてバスタ新宿に変更されました。乗車券販売窓口は前日に営業を終了し、同年5月8日に全ての高速バスの発着が終了しました。最終便はアルピコ交通の松本行きで、45年の歴史に幕を閉じました。ターミナル跡地はヨドバシカメラの店舗としてリニューアルされましたが、近くのデイリーヤマザキには「新宿高速バスTM店」としてターミナルの名前が残っています。

バスターミナル設備

バスタ新宿開業以前

バスタ新宿開業以前のターミナルの状況は以下の通りです。

住所: 東京都新宿区西新宿1丁目10-1 MY新宿第二ビル1階
営業時間: 6時00分 - 23時30分
乗車券販売窓口: 6時30分 - 23時30分

バスのりばは、新宿駅西口バス停留所群の一部として「50番」となっていました。ターミナル内では1番・2番乗り場に分かれており、案内放送では1 - 2番の番号で案内されていました。また、混雑時には26番バス停が臨時乗り場として使用され、路線が増えてからは週末を中心に朝夕は恒常的に26番バス停が使用されていました。

夜行便は基本的に26番乗り場への変更はありませんでしたが、「やまと号」奈良行きは26番乗り場での乗車改札となる場合がありました。降車は26番または28番バス停で行われ、新宿 - 土気線は常に28番乗り場から発車していました。複数台同時発車の場合は26番を使用するか、発車時刻を過ぎてから時間差で入線するケースがありました。

MY新宿第二ビル

MY新宿第二ビルの1階には、6つの出札窓口があり、各路線の当日分乗車券を販売していました。翌日以降の乗車券は2階カウンターで購入する必要がありました。窓口は以前は担当路線が決まっていましたが、後に方面別に分けられ、最終的には購入口に並んだ順に販売する方式に変更されました。また、クレジットカード対応の自動券売機や無線・放送カウンター、冷暖房完備の待合室、売店、トイレが設置されていました。

2階には、翌日以降の乗車券を販売するカウンターがありました。「はかた号」が発着していたため、九州内の路線バス・高速バスが乗り放題になる「SUNQパス」も販売していました。

新宿110ビル内待合所

隣接する新宿110ビルの1階と2階には、新たな待合所が設けられ、クレジットカード対応の自動券売機と携帯電話充電器（有料）が設置されていました。

バスタ新宿開業後

2016年 5月8日までは、MY新宿第二ビルの1階と新宿西口の26番・28番乗り場が使用され、新宿110ビル内の待合所も同日まで運用されていました。

バスターミナル廃止時点での出発路線

定期便

中央高速バス新宿 - 中央市・南アルプス市「南アルプスエコパークライナー」（京王バス東）
8時00分発のみ

一部の臨時便のみ

かつては以下の中央高速バスや夜行高速バスなどの路線が発着していましたが、バスタ新宿の開業に伴い一部の臨時便のみとなりました。

京王電鉄バスグループ

京王電鉄バスグループの多くの路線は中央道経由です。詳細については「中央高速バス」を参照してください。その他、上信越自動車道や東名高速経由などの便も発着していました。

新宿 - 富士急ハイランド・富士五湖
新宿 - 富士山五合目
新宿 - 甲府・湯村温泉・竜王・富士急上阿原車庫
新宿 - 南アルプス市役所・身延
新宿 - 中央市・南アルプス市「南アルプスエコパークライナー」
新宿 - 茅野・諏訪・岡谷
新宿 - 松本
新宿 - 安曇野スイス村・信濃大町・白馬・扇沢・栂池高原
新宿 - 伊那・駒ヶ根
新宿 - 飯田
新宿 - 平湯温泉・飛騨高山
新宿 - 塩尻・木曽福島
新宿 - 名古屋

その他系統

上信越道系統
新宿 - 長野
東名高速系統
新宿・渋谷 - 裾野・三島・沼津
新宿・渋谷 - 清水・静岡「渋谷・新宿ライナー静岡号」
新宿・渋谷 - 浜松「渋谷・新宿ライナー浜松号」/「渋谷・新宿イーライナー」
長距離系統
新宿・渋谷 - 仙台・石巻「広瀬ライナー号」
池袋・渋谷・新宿 - 大阪
新宿・渋谷 - 神戸・姫路「プリンセスロード号」
新宿 - 土気線
新宿 - 東京スカイツリータウン - 千葉・鎌取・誉田・土気

西東京バス

西東京バスの路線は、当初京王電鉄直営で開設され、その後子会社に移管、再移管された経緯があります。中央高速バスとしては扱われません。

新宿 - 高松・丸亀「ハローブリッジ号」
新宿・八王子 - 大阪あべの橋「ツィンクル号」
新宿 - 松山・八幡浜「オレンジライナーえひめ号」
新宿 - 松本
新宿 - 東京サマーランド

関東バス

関東バスは、京都・奈良・枚方方面に向かう夜行路線を運行していました。京王の高速バス予約サイトでは予約できませんでした。

新宿 - 天理・奈良、新宿 - 天理・八木・大和高田・五條「やまと号」
新宿・渋谷 - 山科・京都・樟葉・枚方「東京ミッドナイトエクスプレス京都号」

近鉄バス

西東京バスと共同運行する「ツィンクル号」のほか、格安便の「カジュアル・ツィンクル号」を運行していました。

新宿 - 大阪あべの橋「カジュアル・ツィンクル号」

西日本鉄道

福岡・天神への夜行路線「はかた号」を運行していました。

新宿 - 小倉・天神・博多「はかた号」

富士急グループ

新宿 - 甲州市役所・山梨市役所・富士急上阿原車庫「甲州ワインライナー」 ※土休日のみ運行
新宿 - さがみ湖プレジャーフォレスト ※季節運行

国際興業バス

新宿・東京・秋葉原・上野 - 鶴岡・酒田「夕陽号」
新宿・大宮 - 八戸・三沢・野辺地・横浜町・むつ「しもきた号」

アルピコグループ

新宿 - 上高地「さわやか信州号」

弘南バス

東京・新宿 - 青森「津輕号」
東京・新宿 - 八戸・七戸十和田・野辺地・青森「えんぶり号」
新宿・東京 - 弘前・五所川原「パンダ号」

海部観光

東京・新宿 - 徳島・阿南「マイフローラ・マイリピート」

バスタ新宿開業前に発着終了した路線

京王バス東
中央高速バス下呂温泉線
川中島バス
新宿 - 上山田温泉・屋代間
山梨交通
中央高速バス北杜・白州線

新宿高速バスターミナルは、45年の歴史の中で多くの人々に利用され、高速バスの重要な拠点でした。その役割はバスタ新宿に引き継がれましたが、このバスターミナルの歴史は、新宿の交通史において重要な一部分として記憶されるでしょう。

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