新演伎座

新演伎座は、1942年（昭和17年）に俳優の長谷川一夫が、山田五十鈴らと共に設立した劇団です。当初は舞台演劇を中心に活動していましたが、第二次世界大戦後には映画製作にも進出しました。戦後の名称は株式会社新演伎座であり、「新演技座」という表記は誤りです。

設立から終戦まで

1942年、長谷川一夫は東宝映画に所属していましたが、実演の舞台演劇を行うため、山田五十鈴らと新演伎座を設立しました。同年3月には、東京宝塚劇場で第一回公演を行い、菊田一夫作・演出の『ハワイの晩鐘』、六世藤間勘十郎作・演出の『鷺娘』、川口松太郎作、金子洋文演出の『お嶋千太郎』を上演しました。しかし、戦局の悪化により、1944年には最終公演を行い、一時活動を休止しました。

戦後の再開と映画製作への進出

終戦後の1946年、新演伎座は活動を再開しました。同年9月には、東京・有楽座で菊池寛作、衣笠貞之助演出の『藤十郎の恋』を公演しました。しかし、同年11月、長谷川と山田は第二次東宝争議の最中に「十人の旗の会」を結成して日映演東宝支部を脱退、新東宝の前身である新東宝映画製作所の設立に参加し、1947年には同社の設立第一作である市川崑監督の『東宝千一夜』に揃って出演しました。また、同年11月には、後援会の会報『新演伎座』を創刊しました。年末から翌年にかけては、中国、四国、九州地方を巡業しました。

1948年2月、長谷川一夫は自ら代表となり、新演伎座を株式会社化し、株式会社新演伎座となりました。資本金は300万円、清川峰輔が専務取締役に就任しました。同年、マキノ正博（後のマキノ雅弘）のCAC（映画芸術協同）と共同で、両社の設立第1作『幽霊暁に死す』を製作、東宝の配給で公開されました。同年には、演技研究所を発足し、若尾文子や後の紙芝居師・梅田佳声が入所しました。1949年2月には、有楽座で巌谷真一・衣笠貞之助作、衣笠演出の『鬼あざみ (春秋常夜燈)』を上演しました。

解散

1952年、新演伎座は経営不振のため解散しました。長谷川一夫は大映京都撮影所に入社し、山田五十鈴はフリーランスとして活動を続けました。

フィルモグラフィ

新演伎座が製作に関わった主な映画作品は以下の通りです。

『幽霊暁に死す』 : 監督マキノ正博、1948年 - 共同製作CAC、配給東宝
『小判鮫 第一部 怒濤篇』 : 監督衣笠貞之助、1948年 - 配給東宝
『小判鮫 第二部 愛憎篇』 : 監督衣笠貞之助、1949年 - 配給東宝
『恋狼火』 : 監督洲多競、1949年 - 配給東宝
『銭形平次捕物控 平次八百八町』 : 監督佐伯清、1949年 - 共同製作新東宝、配給東宝
『足を洗った男』 : 監督冬島泰三、1949年 - 配給松竹
『甲賀屋敷』 : 監督衣笠貞之助、1949年 - 配給大映
『傷だらけの男』 : 監督マキノ正博、1950年 - 共同製作東日興業、配給東宝
『お富と与三郎』前篇・後篇 : 監督冬島泰三、1950年 - 配給松竹
『城ヶ島の雨』 : 監督田中重雄、1950年 - 配給大映
『千両肌』 : 監督冬島泰三、1950年 - 配給大映
『火の鳥』 : 監督田中重雄、1950年 - 配給大映
『鬼あざみ』 : 監督冬島泰三、1950年 - 配給大映
『修羅城秘聞 双竜の巻』 : 監督衣笠貞之助、1952年 - 共同製作大映京都撮影所、配給大映
『続修羅城秘聞 飛竜の巻』 : 監督衣笠貞之助、1952年 - 共同製作大映京都撮影所、配給大映

新演伎座は短期間の活動でしたが、その間に多くの舞台作品や映画作品を世に送り出し、日本の演劇・映画史に足跡を残しました。

外部リンク

Shinengiza, Shin engi za - Internet Movie Database （英語）

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