新羅楽

新羅楽（しらぎがく）に関する詳細

新羅楽は、長い歴史を持つ雅楽の一部であり、中国大陸から新羅を経由して日本に伝わりました。この楽曲は、当初新羅楽や百済楽といった、さまざまなスタイルに分かれていましたが、後に朝鮮を通じて日本に流入した音楽が「高麗楽」という総称でまとめられるようになりました。

新羅楽の歴史的背景

「新羅楽」という言葉は、『日本書紀』において初めて登場します。その記録によると、天武天皇12年（683年）1月に、新羅の王が天皇の崩御を聞いて多くの楽器や楽人を貢上した様子が描かれています。新羅楽の演奏には新羅琴や新羅笛などの特有の楽器が使用され、これらの楽器は現在も正倉院に保存されています。

この頃の楽師の数は、職員令からも確認でき、4人として記載されていますが、時間が経つにつれて楽師の数は変動しました。『続日本紀』によると、天平3年（731年）には雅楽寮の雑楽生の人数を定めるための記録があり、新羅楽は当初4人とされ、後に養老令では20人に増加しています。

新羅楽の楽器と演奏スタイル

新羅楽の特徴的な楽器には、新羅琴や新羅笛があり、これらは朝鮮半島の音楽スタイルを反映しています。平安時代に入ると、新羅楽は高麗楽や百済楽と統合されていき、左右両部制の右方高麗楽に吸収されました。これにより、新羅楽の楽器やスタイルは次第に廃れていきました。

また、天平12年（744年）には、聖武天皇が美濃国に行幸し、そこで新羅楽が演奏されたという記録も残っています。美濃国には新羅人が多く住んでいたため、この地域での演奏は非常に重要な意味を持っていました。

新羅楽の影響とその後

平安時代以前は、新羅楽は日本の宮廷音楽の一部として認識されていましたが、時間が経つにつれて、伝統的な楽器は使用されなくなり、新羅楽はその形を変えていきました。新羅楽は、その後の日本の音楽に何らかの影響を与え続けており、その存在意義は高麗楽や百済楽、さらには日本の古典音楽の歴史を知る上で欠かせないものとなっています。

新羅楽は、文化交流の一環として日本と朝鮮の関係の重要性を示し、それが現代日本の音楽にどのように影響を及ぼしたかを理解する手助けとなります。このように、新羅楽は日本音楽史の中でのその位置づけを考える上での重要な鍵を握っているのです。

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参考文献

• - 宇治谷孟 訳『日本書紀 二』岩波書店、1994年
• - 宇治谷孟 訳『続日本紀 全現代語訳 上』講談社、1992年
• - 永原慶二 編『岩波日本史辞典』岩波書店、1999年

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