於茂登岳

於茂登岳（おもとだけ）

沖縄県石垣市に位置する於茂登岳は、標高526メートルを誇る沖縄県の最高峰です。地元では「ウムトゥダギ」とも呼ばれ、古くは『球陽』に「宇本嶽」「宇茂登嶽」と記されていました。その美しい山容から「石垣富士」とも称され、島の人々に親しまれています。

地理と地質

於茂登岳は、石垣島の北岸に東西に連なる於茂登山系の中央に位置しています。北北東には桴海於茂登岳、西にはぶざま岳が隣接しています。地質は新第三紀の花崗岩で構成されています。

生態系

山体はイタジイを中心とした照葉樹林に覆われていますが、山頂付近はリュウキュウチクが優占する草地となっています。山麓の北側にはカンヒザクラの自生地があり、「荒川のカンヒザクラ自生地」として国の天然記念物に指定されています。また、カンムリワシやリュウキュウキンバトなどの貴重な動植物も生息しており、豊かな生態系が保たれています。

文化と信仰

於茂登岳は、古くから霊山として信仰を集めてきました。「ウムトゥ」は「島の大本」を意味するとも言われ、島の人々にとって特別な存在です。『琉球国由来記』には、於茂登の神「ウムトゥテラシィ」を祀る祭事が多くの御嶽で行われていたと記されています。また、首里の弁ヶ岳、久米島の神と姉妹であり、八重山に移り住んで島の守護神になったという伝説も残っています。1500年のオヤケアカハチの乱では、久米島の神女が於茂登岳の神を説得し、琉球王国軍に帰順させたという逸話も伝えられています。

保護と利用

1997年、北西麓の川平湾とともに「川平湾及び於茂登岳」として国の名勝に指定されました。登山道は南側に整備されており、多くの登山者が訪れます。山体は島の水源として重要な役割を担っており、宮良川や名蔵川の源流となっています。南斜面の一部は水源涵養林、山頂周辺や尾根筋は保安林に指定され、保護されています。

登山情報

アクセス

車: 新石垣空港から約30分。
バス: 石垣バスターミナルから東運輸米原キャンプ場線（系統番号11）に乗車し、「おもと」停留所で下車（約44分）。登山口まで徒歩約30分。

登山時間

登山口から山頂まで、徒歩約1時間。下りは約55分。

於茂登岳にまつわる事物

西表島: 新井白石の『南島志』では「入表」と表記され、於茂登岳より奥にある島という意味で使われています。また、西の於茂登に由来するという説もあります。

音楽: BEGINは、於茂登岳をテーマにした島唄アルバム「オモトタケオ」シリーズをリリースしています。
『ビギンの島唄 〜オモトタケオ〜』（2000年）
『ビギンの島唄 〜オモトタケオ2〜』（2002年）
『ビギンの島唄 〜オモトタケオ3〜』（2010年）
『ビギンの島唄 オモトタケオのがベスト 25周年記念盤』（2015年）
成底ゆう子の楽曲「ふるさとからの声」にも、於茂登岳が登場します。

関連情報

関連項目:
各都道府県の最高峰
新日本百名山
石垣中継局（民放ラジオ放送・NHKテレビ中継局）
外部リンク:
川平湾及び於茂登岳 - 国指定文化財等データベース（文化庁）
川平湾及び於茂登岳 - 文化遺産オンライン（文化庁）
於茂登岳 - 親子で楽しむ山登り（日本山岳会）
沖縄県最高峰の於茂登岳に登ろう !
於茂登岳 - Yamakei Online（山と溪谷社）
於茂登岳 - ヤマレコ

於茂登岳は、石垣島のシンボルとして、その豊かな自然と歴史を今に伝えています。登山だけでなく、その文化的価値にも触れてみてはいかがでしょうか。

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