日本が承認していない国一覧

日本政府が承認していない国々

この記事では、国際連合加盟国などから国家承認を受けているものの、日本政府から国家承認を受けていない国々、および主権実体について解説します。日本政府が何らかの外交関係を有する未承認国と、外交関係を一切有さない未承認国・主権実体に分けて説明します。

日本政府が何らかの外交関係を有する未承認国

日本政府は、国家として承認しないものの、何らかの外交関係を有する国を、独立国の政府が実効支配している地域の名称で呼んでいます。具体的には、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）、パレスチナ国、中華民国（台湾）です。これらの国は、外務省公式サイトの「国・地域」リストにおいて「その他の地域」として扱われています。

朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）

北朝鮮は1948年に独立し、1991年に国連に加盟しました。多くの国連加盟国が国家承認していますが、日本は日韓基本条約に基づき、韓国政府を「朝鮮にある唯一の合法的な政府」と位置付けているため、北朝鮮を承認していません。日本政府は、北朝鮮が国際法を遵守する意思と能力を有し、「住民の自由な意思の表明によって選挙を行なって、それに基づいてできた政府」が成立したと判断した場合に、国家承認する可能性を示唆しています。

日本と北朝鮮の間には、在日朝鮮人の帰還事業、日朝国交正常化交渉、日朝首脳会談など、非公式な交渉関係が存在します。連絡窓口は、両国の大使館（北京）となっています。日本は北朝鮮に政府代表部を置いておらず、貿易関係などは民間団体が担っています。一方、北朝鮮は在日本朝鮮人総聯合会（朝鮮総聯）を利益代表部として扱っています。

民間交流は活発とは言えず、経済関係も日本側の禁輸措置により停止しています。日朝間の直航路なども、現在は停止しています。報道についても、日本側の北朝鮮現地取材体制は脆弱です。

パレスチナ国

パレスチナは1988年に独立宣言を行い、国連総会オブザーバー国、ユネスコ正式加盟国となっています。多くの国が国家承認していますが、日本はまだ国家承認していません。しかし、日本は将来の承認を予定したパレスチナ自治政府として扱い、経済支援や紛争解決の協議などを実施しています。2012年からは、パレスチナ日本代表事務所長を「大使」と呼称するなど、事実上国家に準じた扱いとなっています。また、国連でのパレスチナ関連の決議には賛成票を投じています。

中華民国（台湾）

日本は1952年の日華平和条約で中華民国との国交を樹立しましたが、1972年の日中共同声明により、中華人民共和国を「中国唯一の合法政府」と承認し、中華民国との国交を断絶しました。その後、日本台湾交流協会と台湾日本関係協会という非政府組織を介して、民間レベルでの活発な交流を続けています。日本政府は「一つの中国」政策を堅持しているため、台湾を国家として公式に認めていませんが、実質的には大使館・領事館に準じる役割を果たしています。

日本政府が外交関係を一切有さない未承認国・主権実体

日本政府は、外交関係のない国家未承認国を、カギカッコ付きの政府名で呼称しています。これらの国は、外務省ホームページの「国・地域」リストにも掲載されていません。

未承認国

サハラ・アラブ民主共和国: 西サハラ地域の独立を宣言していますが、日本政府は承認していません。西サハラの主権帰属はMINURSO（国際連合西サハラ住民投票ミッション）により解決すべき問題だと主張しています。
アブハジア共和国: ジョージアからの独立を宣言していますが、日本政府はジョージア領土の一体性を尊重する立場から承認していません。
南オセチア共和国: ジョージアからの独立を宣言していますが、日本政府は同様に承認していません。
沿ドニエストル共和国: モルドバからの独立を宣言していますが、日本政府は承認していません。
北キプロス・トルコ共和国: キプロス北部のトルコ系実効支配地域が独立を宣言していますが、日本政府はキプロス共和国の一部として認識し、承認していません。
ソマリランド共和国: ソマリア北部が独立を宣言していますが、日本政府は2012年にソマリア暫定連邦政府が統一政権に移行したとして承認していません。

主権実体

マルタ騎士団: かつて領土を有していた歴史から主権実体として扱われますが、日本政府は外交関係を有していません。

承認後も特定の主張を承認していない国

日本政府は、いくつかの国を承認していますが、その国の特定の主張については承認していません。例えば、イスラエルのエルサレム首都宣言、ゴラン高原の領有、中華人民共和国の台湾領有権主張、尖閣諸島領有権主張、韓国の竹島領有、ロシアの北方領土領有、クリミア半島併合、ウクライナ一部地域併合、モロッコの西サハラ領有などです。

政府承認をしていない国

アフガニスタン: アフガニスタン・イスラム首長国政権を承認しておらず、アフガニスタン・イスラム共和国政権を承認しています。
ミャンマー: 2021年のクーデターにより成立した軍事政権を承認していません。
イエメン: 2015年のクーデターによって成立した救国政府を承認していません。

過去の非承認状況

過去には、大韓民国、中華人民共和国など、現在では外交関係を持つ国も、かつては日本政府から承認されていませんでした。また、バーレーン、ブータン、オマーン、カタール、トルーシャル・オマーン、カンボジア、アンドラ、クック諸島、ニウエなども、独立や政権交代後、しばらくの間、日本政府の承認を得ていませんでした。ソマリア内戦後も、日本政府は暫定政府を承認せず、正式な政府発足後に承認しました。

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