日本におけるカトリック教会

この項目では、日本におけるカトリック教会について概説します。

歴史

カトリックは、1549年にイエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルによって日本に伝えられました。当初、キリシタンやキリシタン大名が増加しましたが、江戸時代には禁教となり、厳しい弾圧を受けました。しかし、一部の信者は「隠れキリシタン」として信仰を密かに守り続けました。1865年、長崎の大浦天主堂で「カトリック信徒発見」が起こり、1873年には明治政府が禁教令を撤廃したことで、再び公に宣教活動が始まりました。

統計

日本のカトリック教会の信者数は、2019年12月時点で43万7607人（平信徒数は43万1070人）です。これは日本の人口の約0.343%にあたり、社会的少数者と言えます。しかし、長崎県では歴史的経緯から人口の4.368%と突出して多く、特に黒島や平戸市、五島列島では信者の割合が高いです。近年、信者数の絶対数は減少傾向にありますが、日本の人口減少も大きいため、人口比はほぼ変わっていません。

日本国内には961のカトリック教会、746の修道院があり、41の医療施設、639の社会福祉施設、833の教育施設（ミッションスクール等）を運営しています。文化庁の『宗教年鑑』によると、日本のカトリック教会はキリスト教系教団の中で最大勢力ですが、日本発祥の新宗教には及ばない規模です。

教区概要

日本には15の教区（司教区）があり、それぞれ司教が教区長を務めます。東京、大阪、長崎の3つの教区は大司教区で、複数の教区を統括する教会管区となっています。カトリック教会では、各教区が宗教法人格を持ち、個々の教会は法人格を持ちません。司教座が置かれる教会は「司教座聖堂（カテドラル）」と呼ばれ、その所在地名が教区名となります。

各教区長や司教は、日本カトリック司教協議会に所属し、国内での連携を図っています。日本カトリック司教協議会は、カトリック教会の全国的な共通事項を協議し、時代に適合した活動を促進する目的で設置された組織です。カトリック中央協議会は、その運営と活動を支える実働部隊として機能しています。

教区別詳細

各教区、司教座聖堂、司教（2022年4月現在）、管轄都道府県、小教区数、信徒数（2017年末時点）は以下の通りです。

札幌教区：北一条教会（札幌市）、勝谷司教、北海道、82、17,817
仙台教区：元寺小路教会（仙台市）、平賀司教、青森県、岩手県、宮城県、福島県、49、16,972
さいたま教区：浦和教会（さいたま市）、山内司教、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、80、32,953
東京大司教区：東京カテドラル聖マリア大聖堂（文京区）、菊地大司教、東京都、千葉県、88、96,805
横浜教区：横浜カテドラル（横浜市）、梅村司教、神奈川県、静岡県、64、30,314
新潟教区：新潟教会（新潟市）、成井司教、新潟県、山形県、秋田県、37、7,709
名古屋教区：今池教会（名古屋市）、土山司教、愛知県、岐阜県、富山県、石川県、福井県、72、18,970
京都教区：河原町教会（京都市）、大塚司教、京都府、滋賀県、奈良県、三重県、55、23,722
大阪高松大司教区:玉造教会（大阪市）、松浦大司教、大阪府、香川県、徳島県、愛媛県、高知県、113、62,190
広島教区：世界平和記念聖堂（広島市）、白浜司教、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、56、15,219
福岡教区：大名町教会（福岡市）、宮原司教、福岡県、佐賀県、52、14,000
長崎大司教区：浦上教会（長崎市）、中村大司教、長崎県、115、80,867
大分教区：大分教会（大分市）、なし、大分県、宮崎県、45、9,513
鹿児島教区：加治屋町教会（鹿児島市）、中野司教、鹿児島県（奄美群島を除く）、43、10,421
那覇教区：カトリック那覇教会（那覇市）、なし、沖縄県、19、2,831

教区の変遷

明治以前

1846年：日本使徒座代理区が設立され、パリ外国宣教会に委託されました。
1876年：日本代理区が南緯代理区と北緯代理区に分割されました。
1888年：南緯代理区から近畿、中国、四国地方が分離し、中部代理区が新設されました。

明治

1891年：北緯代理区から東北地方と北海道函館地区が分離し、函館代理区が新設されました。同年、教階制が実施され、北緯代理区は東京大司教区、函館代理区は函館教区、中部代理区は大阪教区、南緯代理区は長崎教区に昇格しました。
1904年：大阪教区から四国4県が分離し、四国使徒座知牧区が新設されました。

大正・昭和（戦前）

1912年：函館教区から新潟、山形、秋田の3県が、東京教区から富山、石川、福井の3県が分離し、新潟知牧区が新設されました。
1915年：函館教区から北海道全土と樺太南部が分離し、札幌知牧区が新設されました。
1922年：東京教区から愛知、岐阜の2県が、新潟知牧区から富山、石川、福井の3県が分離し、名古屋知牧区が新設されました。
1923年：大阪教区から中国5県が分離し、広島代理区が新設されました。
1927年：長崎教区から鹿児島、沖縄の両県が分離し、鹿児島知牧区が新設されました。また、長崎教区から福岡、佐賀、熊本、宮崎、大分の5県が分離し、福岡教区が新設されました。
1929年：札幌知牧区が札幌代理区に昇格しました。
1932年：札幌代理区から樺太南部が分離し、樺太知牧区が新設されました。
1935年：福岡教区から宮崎、大分両県が分離し、宮崎知牧区が新設されました。
1936年：函館教区が仙台に移転し、仙台教区と改称しました。
1937年：大阪教区から奈良、三重、滋賀の1府3県が分離し、京都知牧区が新設されました。また、東京教区から東京、千葉を除く8県が分離し、横浜教区が新設されました。
1939年：横浜教区から埼玉、茨城、栃木、群馬の4県が分離し、浦和知牧区が新設されました。

昭和（戦後）以降

1947年：鹿児島知牧区からトカラ列島、奄美諸島および沖縄県が分離し、琉球列島使徒座管理区が設置されました。
1951年：京都知牧区が京都教区に昇格しました。
1952年：琉球管理区から奄美群島を除く南西諸島の北部8島が鹿児島知牧区に移管され、仙台教区に属していた函館地区が移管され、札幌代理区が札幌教区に昇格しました。
1955年：鹿児島知牧区が鹿児島教区に昇格し、琉球管理区から奄美群島が鹿児島教区に移管されました。
1957年：浦和知牧区が浦和教区に昇格しました。
1959年：長崎教区が長崎大司教区に昇格し、広島代理区が広島教区に昇格しました。
1961年：宮崎知牧区が大分教区に昇格しました。
1962年：新潟知牧区が新潟教区に、名古屋知牧区が名古屋教区に昇格しました。
1963年：四国知牧区が高松教区に昇格しました。
1969年：大阪教区が大阪大司教区に昇格しました。
1972年：琉球管理区が那覇教区に昇格しました。
2003年：浦和教区がさいたま教区に改称しました。
2023年：大阪教区と高松教区が統合し、大阪高松大司教区が設立されました。

日本で活動する主な修道会

男子修道会

イエズス会
コンベンツァル聖フランシスコ修道会
神言会
聖ヴィアトール修道会
トラピスト会（厳律シトー会）
フランシスコ会
マリア会
ラ・サール会
レデンプトール会
キリスト教修士会
サレジオ会

など多数

女子修道会

シャルトル聖パウロ修道女会
聖心会
幼きイエス会（旧サンモール修道会）
長崎純心聖母会
ヌヴェール愛徳修道会
聖ドミニコ宣教修道女会

など多数

著名人の信徒

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脚注

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注釈

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出典

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外部リンク

カトリック中央協議会
日本カトリック学校連合会
日本カトリック大学連盟

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