日西関係史

日本とスペインの関係史

概観

日本とスペインの交流は、16世紀半ばに始まり、460年以上の歴史があります。両国は伝統的に良好な関係を築いてきました。

16世紀の出会い

16世紀、スペインは西回りで太平洋に進出し、フィリピンを植民地としました。一方、ポルトガルは東回りでマカオに進出。この時期に、日本人は初めてヨーロッパの国、ヨーロッパ人と接触しました。1549年にはフランシスコ・ザビエルが来日し、キリスト教の布教と南蛮貿易を通じて、日本とスペインの間には活発な交流が生まれました。この交流は、日本の文化や世界観にも大きな影響を与え、南蛮文化という独自の文化を生み出しました。

天正遣欧使節と慶長遣欧使節

1584年には、天正遣欧使節団がフェリペ2世に謁見し、1615年には支倉常長がフェリペ3世に謁見するなど、両国間の交流は深まりました。

鎖国による関係の途絶

しかし、江戸幕府によるキリスト教禁教政策と鎖国体制の完成により、これらの関係は途絶しました。

明治以降の交流

明治初年（1868年）には修好通商航海条約が結ばれ、日本とスペインは国交を回復しました。しかし、スペイン内戦から第二次世界大戦にかけての一時期を除き、両国間の政治・外交上の懸案は少なく、関係は希薄な状況が続きました。

近現代の交流

近年では、文化・芸術・スポーツ面での関心や交流が活発です。特に、アニメや漫画などのポップカルチャーは、スペインで非常に人気があり、日本でもフラメンコやスペイン料理など、スペイン文化への関心が高まっています。

16世紀から幕末まで

スペイン人宣教師との接触

16世紀、日本とスペインの間には、国家間関係が本格化する以前から、人の往来がありました。ポルトガルの保護下でアジア布教が本格化する中、日本人とスペイン人宣教師が接触する機会が生まれたのです。

ヤジロウの存在

特に、ヤジロウは、キリスト教の洗礼を受け、ザビエルの来日を手引きした重要な人物です。ザビエルに随行したイエズス会士の中には、コスメ・デ・トーレス神父やフアン・フェルナンデス修道士など、スペイン出身の者がいました。

ベルナルドと天正遣欧使節

ザビエルの離日に同行した薩摩出身のベルナルドは、スペイン各地を訪れました。また、天正遣欧使節の一行も、スペインを訪問し、フェリペ2世に謁見しています。

両国関係の本格化から途絶まで

海難漂着と答礼使

1609年には、前フィリピン総督ドン・ロドリゴが、海難により上総国に漂着。1611年には、セバスティアン・ビスカイノが答礼使として来日しました。

慶長遣欧使節の派遣

1613年には、仙台藩がルイス・ソテロや支倉常長らを、ヌエバ・エスパーニャ経由でスペインに派遣しました。常長らは、フェリペ3世やローマ教皇パウルス5世に謁見しました。

キリスト教禁教政策

しかし、江戸幕府はキリスト教の禁教政策を強化し、1624年にはスペイン船の来航を禁止しました。

日本開国以降

日西修好通商航海条約

1868年、日西修好通商航海条約が締結され、日本とスペインの国交が樹立されました。

国境確定宣言

1895年には、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を両国の境界線とする「国境確定ニ関スル日西両国宣言」が調印されました。

スペイン内戦

フランコ政権の承認

1936年のスペイン内戦勃発後、日本はフランコ政権を承認しましたが、その過程には複雑な事情がありました。日本は当初、フランコ派にシンパシーを感じつつも、公式な承認は遅らせていました。

外交関係の断絶

しかし、1937年、日本はフランコ政権を承認し、スペイン共和国との外交関係を断絶しました。

第二次世界大戦

スペインの中立放棄

第二次世界大戦中、スペインは中立を放棄し、事実上の準枢軸国となりました。スペインは、ドイツとイタリアとの同盟を検討しましたが、最終的には実現しませんでした。

日本との協力関係

日本は、スペインの親枢軸的な動きを歓迎し、情報交換を行っていました。しかし、スペインの旧植民地であるフィリピンをめぐっては、問題も発生しました。

情報活動の終焉

戦局が枢軸国に不利になると、スペインは連合国との和平を模索し始めました。1944年、両国の情報活動も終了しました。

国交断絶

1945年、マニラの戦いでは、多くのスペイン人が犠牲となり、スペインでは反日感情が高まりました。日本は、スペインから国交断絶の覚書を受け取り、両国間の外交関係は一時的に途絶えました。

国交回復

戦後補償

1952年、日本とスペインは国交を回復し、1957年には日本が550万ドルの補償を行いました。

皇室・王室の交流

1973年には、皇太子明仁と皇太子妃美智子がスペインを訪問し、両国の友好関係を深めました。両国の皇室・王室間には緊密な交流があり、相互訪問が頻繁に行われています。

文化交流

1970年代以降、スペインでは日本文化への関心が高まり、特にアニメや漫画は絶大な人気を誇っています。日本でもフラメンコやスペイン料理など、スペイン文化への関心が高まっています。

現在

要人往来

両国間では、皇室・王室をはじめ、首相や外相など、要人レベルの往来が頻繁に行われています。

貿易関係

貿易関係は、ヨーロッパ諸国との結びつきが強く、日本との関係は薄いのが現状です。しかし、近年では、日本からの進出企業やスペイン企業の日本進出も増加傾向にあります。

外交使節

両国は、大使館を設置し、外交関係を維持しています。

まとめ

日本とスペインの関係は、16世紀の出会いから始まり、様々な歴史的出来事を経て、今日に至っています。両国は、文化や芸術、スポーツなど、多方面での交流を深めており、今後も良好な関係が継続していくことが期待されます。

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