日野資名

日野資名の生涯と業績

日野資名（ひの すけな、弘安9年〈1286年〉 - 暦応元年〈1338年〉）は、鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて活躍した日本の公卿である。彼は藤原北家真夏流の日野家に生まれ、父は権大納言である日野俊光。資名は日野家の18代当主として、重要な政治の舞台に身を置いた。

経歴の始まり

資名は、永仁4年（1296年）に左兵衛佐に任官し、公の職を徐々に昇進させていく。正和4年（1315年）には参議、この翌年の文保元年（1317年）には権中納言に就任、元徳2年（1330年）には正二位を拝命する。このように、彼の官職は着実に上昇し、政界での存在感を高めていった。

後醍醐天皇との関与

元弘元年（1331年）、鎌倉幕府が後醍醐天皇を廃し、光厳天皇を擁立した事件が起こる。資名はこの動乱において、後醍醐天皇から三種の神器の伝授に関与する役割を担った。彼はこの後、光厳天皇の信任を受け、按察使や権大納言へと昇進する。

忍び寄る危機

しかし、正慶2年/元弘3年（1333年）、足利尊氏による政変が発生。六波羅探題が陥落する中、資名は北条仲時らと共に光厳天皇や後伏見上皇を連れて京都から脱出を試みる。しかし、その途中で敵に阻まれ、近江国番場宿の蓮華寺で仲時らは自刃。資名はその場で出家し、新たな人生を歩み始めることとなる。

足利尊氏との関係

建武2年（1335年）、足利尊氏が後醍醐天皇から離反し独立すると、資名は再び政治的苦境に立たされる。尊氏は持明院統の天皇を支持し、光厳上皇を頼りにして資名に接触した。資名は尊氏の意図を受け、光厳上皇の院宣を受け取る運びとなり、これを尊氏へと手渡した。彼の政治的な立ち回りは、激動の時代における彼の重要性を物語っている。

最後の歳月

暦応3年（1338年）、資名は53歳でこの世を去る。彼の死は、波乱に満ちた政治の中での一つの節目であった。資名の生涯は、時代の流れの中で公卿としての重責を果たし、また多くの権力者との関係を築く中で、鎌倉時代から南北朝時代へと移り変わる日本の歴史に刻まれている。

家族

資名の家族には影響力のある人物が多く、父は日野俊光、母は阿野寛子である。後室には芝禅尼がいる。また、彼の子女には後光厳天皇の典侍となった日野宣子や、日野家の19代当主となる日野時光がいる。

日野資名は日本の歴史における重要な公卿の一人として、権力の変遷を見つめ、その中で自身の役割を果たし続けた。

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