旭光誓一

旭光 誓一

旭光 誓一（きょくひかり せいいち）は、1976年7月6日生まれ、愛媛県松山市出身の元大相撲力士です。本名は本田 誓一（ほんだ せいいち）。身長179cm、体重198kgという堂々たる体躯で、血液型はB型でした。得意手は「押し」や、相手に胸を許して十分になってから寄る「なまくら四つ」、そして「寄り」でした。自身が記録した最高位は、2001年5月場所における東幕下35枚目です。

相撲人生の始まり

地元の松山市立中学校に通っていた頃、すでに体重が130kgを超えるほどの恵まれた体格だったことが、大島部屋の関係者の目に留まりました。元大関・旭國であった大島親方自らがスカウトのため自宅を訪れたことがきっかけとなり、大島部屋への入門を決意。1992年3月場所で力士としての第一歩を踏み出しました。この場所は、史上最多となる151名の新弟子検査受験者を記録した場所でもあり、同期には同じ大島部屋の旭天鵬や旭鷲山をはじめ、若の里、隆乃若、智乃花、朝乃翔、隆の鶴、春ノ山、駿傑、出羽乃富士、舞風、一の谷など、後の角界を彩る多くの力士たちがいました。旭光（当時四股名は本名と同じ「本田」）は、この初土俵の場所で前相撲を取り、ただ一人一番出世を果たしました。当時の部屋付親方であった第63代横綱・旭富士（後の安治川親方）から化粧回しを借り、新序出世披露に臨んでいます。

三段目への昇進と苦闘

序ノ口をわずか1場所で通過し、序二段も7場所で突破するなど、出だしは順調でした。1993年9月場所では初めて三段目に昇進しましたが、この場所は残念ながら負け越し、翌場所以降は再び序二段の土俵が続きました。1994年5月場所からは四股名を「旭光」に改め、1995年3月場所で三段目へ復帰すると、以降しばらくは三段目に定着する力をつけました。しかし、1996年1月場所の初日から怪我を負い途中休場を余儀なくされると、怪我の回復が長引いたため翌3月場所も全休となり、番付を大きく落としました。土俵に復帰した同年5月場所は序二段の下位まで番付を下げてしまいましたが、そこから5勝2敗、6勝1敗と連続で勝ち越し、同年9月場所には再び三段目へ戻りました。その場所も6勝1敗と好調で、翌11月場所では三段目の中位に復帰しました。1997年5月場所では一度序二段に落ちましたが、1場所で三段目に復帰すると、同年7月場所では6勝1敗と大きく勝ち越し、着実に力をつけていきました。この頃から体重の増加が良い方向に作用し始めたと言われています。

幕下への挑戦と最高位

1998年5月場所では、力士人生で初めて幕下への昇進を果たしましたが、1場所で三段目に陥落してしまいました。しかし諦めずに土俵を務め、1999年9月場所では三段目で7戦全勝の快進撃を見せ、優勝決定戦に進出。惜しくも栃栄に敗れましたが、強い印象を残しました。同年11月場所で2度目の幕下昇進を決めると、その後も昇進・陥落を繰り返しつつ、2001年5月場所には自己最高位となる東幕下35枚目まで番付を上げました。しかし、この場所は2勝5敗と負け越し、残念ながらこの地位を更新することはできませんでした。2003年11月場所には6勝1敗の成績で5回目の幕下復帰を果たし、翌2004年1月場所は西幕下39枚目まで上がりましたが、この場所を含め2場所連続で負け越して三段目に陥落。以降、過剰な体重増加が相撲内容に悪影響を与え始めたこともあり、幕下への再昇進は叶いませんでした。

晩年と部屋移籍、そして引退

2009年3月場所で負け越すと、翌5月場所では1997年5月場所以来となる12年ぶりの序二段降格となりました。この頃からは年齢的な衰えも顕著になり、怪我やそれに伴う休場も増え、番付は三段目と序二段を行き来するようになります。2012年3月場所後、師匠である大島親方が停年退職を迎えることとなり、師匠不在となる大島部屋は閉鎖されることになりました。これに伴い、旭光を含む大島部屋の全所属力士・行司らは、関脇・魁輝が師匠を務める友綱部屋へと移籍しました。移籍後初の場所となった同年5月場所は東序二段77枚目で迎え、6番相撲を終えて5勝1敗と好成績を収めていましたが、7番相撲で序ノ口優勝がかかる大砂嵐（当時6戦全勝）との対戦が組まれました。マスメディアの注目を集める15歳年下の相手に対し、惜しくも完敗を喫しました。それでも、同場所を含め3場所連続で勝ち越し、2012年9月場所では東序二段2枚目で勝ち越し、翌11月場所で7回目の三段目昇進を果たしました。しかし、この場所は1勝6敗と大きく負け越し、翌2013年1月場所で再び序二段に降格。以降は三段目に在位することなく、土俵を務めました。

2015年7月場所後に同期生であった旭天鵬と若の里が相次いで引退したことにより、旭光は1992年3月場所初土俵の力士の中で最後の現役力士となりました。引退直前時点では、昭和に初土俵を踏んだ唯一の力士である華吹に次ぐ、現役で二番目に古参の力士となっていました。

2017年7月場所で負け越し、翌9月場所では初土俵直後（1992年5月場所）以来、152場所ぶりとなる序ノ口への降格を経験しましたが、この場所を勝ち越して即座に序二段に復帰し、以降は再び序ノ口へ陥落することはありませんでした。

引退と断髪式

2018年3月場所前に現役生活に別れを告げました。場所前の番付編成会議後に引退届を提出したため、3月場所の番付には名前が残っています。引退に先立ち、2018年2月4日には都内のホテルで断髪式が執り行われました。断髪式には、入門時の師匠である2代大島親方や、同部屋の同期生である旭鷲山、同じく同期生で西岩部屋を設立したばかりの12代西岩親方、そして同部屋の兄弟子で自身が付け人を務めた旭道山など、ゆかりのある多くの人々が駆けつけ、最後は11代友綱親方（元関脇・魁輝）が止めバサミを入れ、長きにわたる土俵人生に幕を下ろしました。

エピソード

現役時代には、その怪力ぶりを示すエピソードがあります。2001年にテレビ番組の企画で、打撃の威力を測定する機械に顔面から突っ込んだ際には、当時の体重172kgながら1058kg（1トン超）もの衝撃を記録しました。これほどの衝撃を受けても全く動じずケロリとした表情を見せたため、周囲を驚かせました。これは力士の首がいかに強靭であるかを示す出来事であり、頭突きでも同様の威力を出した可能性が考えられます。また、ショルダータックルの威力を測定した際も1066kgを記録しており、ここでも1トンを超えるパワーを見せつけました。

また、遅くとも現役後期からは、持ち前の歌の才能を活かし、巡業や花相撲の際には旭天鵬の化粧まわしを借りて相撲甚句を披露する姿がよく目撃されていました。

主な成績

通算成績：512勝539敗34休（勝率.487）
現役在位：156場所

改名歴

本田 誓一（ほんだ せいいち）：1992年3月場所 - 1994年3月場所
旭光 誓一（きょくひかり せいいち）：1994年5月場所 - 2018年3月場所

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