明徳皇后 (前秦)

明徳皇后（めいとくこうごう）

明徳皇后（生年不詳 - 356年）は、前秦の景明帝苻健の皇后であり、波瀾万丈の生涯を送りました。彼女の出自、皇后としての立場、そして悲劇的な最期について解説します。

生涯

明徳皇后は強氏という姓を持ち、氐族の出身で、略陽郡（現在の甘粛省一帯）の出身です。左光禄大夫であった強平の姉にあたります。

苻健に嫁ぎ、その正妻となりました。苻健との間には、苻萇、苻生、苻柳の三人の息子をもうけました。

351年1月、苻健が天王・大単于の位に即くと、彼女は天王后に立てられました。さらに352年1月、苻健が正式に帝位に即くと、皇后に立てられました。

355年4月、皇太子であった苻萇が前年に亡くなったため、後継となる皇太子を新たに定める必要が生じました。皇后は、三男である晋王苻柳を皇太子に立てることを望んでいましたが、苻健は讖文に「三羊五眼」という一節があることを理由に、苻生を皇太子に選びました（「三羊五眼」とは、三頭の羊に五つの眼があるという意味で、一つ眼が欠けていることを示唆します。苻生は三男であったため、この讖文に合致すると考えられました）。

355年6月、苻生が即位すると、彼女は尊んで皇太后に立てられました。

356年4月、弟の左光禄大夫強平は、苻生の淫虐な振る舞いを厳しく諫めました。これに対し、苻生は激怒し、強平を妖言を成したとして、頭に鑿で穴を開けて殺害しました。この事件がきっかけとなり、強皇太后は憂憤のうちに亡くなりました。諡号は明徳皇后です。

参考文献

『晋書』載記
『十六国春秋』
* 『資治通鑑』

もう一度検索