春日山原始林

春日山原始林について

春日山原始林（かすがやまげんしりん）は、日本の奈良県奈良市の名所です。この原始林は市街地の東側に位置し、約250ヘクタールもの広大な面積を誇っています。春日大社の神域にあり、長い歴史の中で狩猟や伐採が禁じられてきたため、今日もなお豊かな自然が残されています。そのため、春日山原始林は貴重な生態系を維持しており、奈良の景観保全において重要な役割を果たしています。

春日山原始林の歴史

春日山は春日大社の一部として古くから神聖視され、841年（承和8年）からは樹木の伐採が禁止されてきました。このような保護政策が功を奏し、現在の原始林は極相林に達しています。暖帯北部に位置するこの地域でありながら、暖帯南部に由来する植物も豊富に生育しています。これにより、希少な動植物が多く生息し、独特な生態系が形成されています。

春日山原始林の主な樹種には、ナギ、ヤマモモ、シイノキ、アラカシ、ツクバネガシ、イチイガシ、カゴノキ、アオガシ、イスノキ、サカキ、クロバイなどがあります。また、林内には多様な蔓性植物も見られ、中でもカギカズラが群生しています。その他にも、ビナンカズラやウドカズラ、テイカカズラ、オオイタビ、ヤマイバラ、フジなどさまざまな植物が生息しています。さらに、暖地性のシダ類も多く見られ、ナチシダやオオバノハチジョウシダ、ヘラシダ、ウラジロなどが確認されています。

春日山原始林は、これらの多様な植物種が共生している点で非常に学術的な価値が高いとされています。また、国の天然記念物にも指定され、1955年には特別天然記念物として認定されました。さらに、1998年には古都奈良の文化財の一部としてユネスコの世界遺産に登録され、国の名勝にも指定されています。

交通アクセス

春日山原始林へのアクセスは非常に便利です。近鉄奈良線の近鉄奈良駅や、JR西日本の関西本線・桜井線の奈良駅から、奈良交通バスに乗車し、終点の「春日大社本殿」で下車することができます。また、春日大社表参道行きのバスも利用可能で、そこから徒歩での移動が可能です。さらに、近鉄奈良駅やJR奈良駅からは徒歩でもアクセスできるため、観光客にとって訪れやすい立地となっています。

周辺の見どころ

春日山原始林の周辺には、奈良公園や奈良県新公会堂、奈良国立博物館など観光スポットが多数あります。特に奈良公園は、放し飼いのシカが多く、訪れる人々に親しまれている場所です。また、歴史的な建物が点在する柳生街道も見どころの一つです。春日山原始林を訪れる際には、これらの観光地も合わせて楽しむことができます。

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