有屋田町

有屋田町（ありやだちょう）

鹿児島県鹿児島市の北西端に位置する有屋田町は、神之川上流域に広がる自然豊かな町です。この地域は、旧薩摩国日置郡に属し、その歴史は中世にまで遡ります。

地理

有屋田町は、鹿児島市の北西部に位置し、北は郡山岳町、南は伊集院町中川や麦生田、西は伊集院町上神殿、東は西俣町に隣接しています。町の中央を南北に流れる神之川沿いには水田が広がり、県道40号線が川沿いを走っています。この県道沿いに集落が点在し、生活が営まれています。

また、有屋田町は全域が「有屋田辺地」として指定されており、公共施設の整備において特別な財政措置が講じられています。

歴史

中世

有屋田の地名は、室町時代から見られ、当時は薩摩国満家院内の名田でした。伊集院氏の一族である麦生田義久の次男忠房が有屋田を治め、「有屋田氏」を名乗りました。しかし、慶長5年（1600年）には、有屋田氏は日向高岡郷（現在の宮崎県宮崎市高岡町）に移されました。

近世

江戸時代には、薩摩藩の直轄領となり、日置郡伊集院郷に属していました。村の石高は時代とともに変動し、「天保郷帳」では335石余、「郡村高辻帳」では335石余、「三州御治世要覧」では302石余、「旧高旧領取調帳」では289石余と記録されています。江戸時代中期から明治時代にかけて微減の傾向が見られましたが、大きな変化はなかったとされています。また、薩摩藩の門割制度においては、宮田門、北門、吉村門、徳永門の4つの門が存在していました。

明治初期の「鹿児島県地誌」によれば、有屋田村の人口は244名で、士族が59名、平民が185名という小規模な村でした。

町村制施行以後

1889年（明治22年）の町村制施行により、有屋田村を含む周辺の村々が合併し、下[[伊集院村]]が成立しました。これにより、有屋田村は下[[伊集院村]]の大字「有屋田」となりました。1956年（昭和31年）には、下[[伊集院村]]が分割され、有屋田は郡山村に編入されました。この背景には、有屋田が郡山村と地理的、経済的、文化的に密接な関係があり、以前から郡山村への編入を希望していたという事情がありました。

郡山村への編入と同時に郡山村は町制を施行し郡山町となり、有屋田は郡山町の大字となりました。この合併により、有屋田地区の小学生は、それまでの下[[伊集院村]]立共進小学校から郡山町立郡山小学校へと通学区域が変更されました。

2004年（平成16年）には、郡山町が鹿児島市に編入され、有屋田町は鹿児島市の一部となりました。この合併に伴い、大字有屋田は廃止され、新たに「有屋田町」として鹿児島市の町名となりました。

人口

1995年以降の国勢調査によると、有屋田町の人口は以下のように推移しています。

（国勢調査による人口推移のデータは省略）

文化財

市指定

有屋田の庚申供養三層塔（有形民俗文化財（風俗資料））

慶長5年（1600年）に有屋田氏が移住した際に、有屋田氏の墓地跡に建てられた供養塔です。

施設

郵便局

里岳簡易郵便局

寺社

南方神社

諏訪大社の末社であり、島津氏の崇敬を受けた諏訪神社を、その一族である伊集院氏が有屋田に勧請して建立したとされています。天文11年（1542年）の創建と伝えられています。

小・中学校の学区

有屋田町に在住の場合、以下の小・中学校の学区となります。

（学区の情報は省略）

交通

道路

主要地方道：鹿児島県道40号伊集院蒲生溝辺線
一般県道：鹿児島県道309号山田湯之元停車場線

バス

鹿児島交通：57 鹿児島駅～伊集院～串木野
鹿児島市コミュニティバス（あいばす、西俣・中心部コース）

参考資料

「角川日本地名大辞典」編纂委員会「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」『角川日本地名大辞典』第46巻、角川書店、1983年
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』平凡社、1998年
南日本新聞『鹿児島市史Ⅴ』 5巻、鹿児島市、2015年
郡山郷土史編纂委員会『郡山郷土史』鹿児島市、2006年
鹿児島市「鹿児島市内の指定文化財等一覧表」2020年

関連項目

下[[伊集院村]]

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