服部正徹

服部正徹（はっとり しょうてつ）

服部正徹は、文政2年（1819年）に生まれ、万延元年（1860年）に没した江戸時代の囲碁棋士です。尾張国（現在の愛知県）に生まれ、十一世井上幻庵因碩の門下となり、七段まで昇段しました。元の姓は加藤氏でしたが、井上家の外家である服部家の三代目として、御城碁に2局出仕しました。一時、服部一と改名した時期もあります。

経歴

正徹は代々医者の家系に生まれ、父・道悦とともに尾張国で育ちましたが、後に越後国（現在の新潟県）に移り住んだため、越後の人とも言われています。井上幻庵因碩の内弟子となり、服部因淑や服部雄節らにも指導を受け、服部家の養子となりました。天保12年（1841年）に五段に昇段し、天保13年（1842年）には雄節の死去により、服部家を相続しました。

幻庵は当初、十二世井上節山因碩を後継者に予定していましたが、嘉永2年（1849年）に節山が急遽退隠した際、江戸にいなかったため、松本錦四郎が井上家を継承することになりました。

嘉永5年（1852年）に六段に進み、服部一に改名しました。安政6年（1859年）には七段に昇段し、名を正徹に戻し、御城碁に出仕しました。しかし、翌万延元年（1860年）に亡くなりました。

服部家は、初代の因淑、二代目の雄節、そして三代目の正徹と、三代にわたって御城碁に出仕し、禄を受けました。これは外家としては唯一のことであり、家元四家に次ぐ格式の碁家とされていました。

六段昇段披露会の席上では、本因坊秀和、秀策、阪口仙得と、伊藤松和、太田雄蔵、安井算知（俊哲）による連碁が、先番3目コミ出しで行われました。当時、「酒は鬼　朝寝秀和に　拳は林　踊は太田で服っと一（はじめ）ます」という狂歌があり、安井門下の鬼塚源次、本因坊秀和の朝寝、林柏栄門入の薩摩拳、太田雄蔵の踊りと、正徹（服部一）を読み込んでおり、当時の正徹の人気をうかがい知ることができます。

正徹の門下には、黒田俊節がおり、小林鉄次郎も一時門下としていました。

時期は不明ですが、ある時、幻庵の妾が門人と密通し、二人で裏長屋に隠れていました。幻庵は盤石を持ってその家を訪ね、棋道に励むようにと諭したと言われています。この門人は後に七段に進んだとされているため、正徹のことであると推測されています。

御城碁戦績

1859年（安政6年） 先番中押負 本因坊秀和
同年 白番13目負 本因坊秀策

参考文献

安藤如意、渡辺英夫『坐隠談叢』新樹社 1955年
福井正明『幻庵因碩打碁集-局前人なく局上石なし』誠文堂新光社 2005年

外部リンク

* 木石庵「服部正徹」

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