朝堂

朝堂（ちょうどう）とは

朝堂とは、古代日本の都城において、大極殿や朝集殿とともに朝堂院を構成する殿舎、または殿舎群を指します。天皇が早朝に政務を執り行う朝政をはじめ、国家の儀式や饗宴など、重要な行事が行われる中心的な場所でした。

概要

朝堂は、天皇の政府である「朝廷」を象徴し、官僚機構そのものを指し示すこともありました。複数の建物で構成され、朝堂に囲まれた中庭は「朝庭」と呼ばれました。

基本的な設計思想

「天子南面す」の思想に基づき、朝堂院の最も北に大極殿が、南には官人の控えの場である朝集殿が配置されました。朝堂は、大極殿と朝集殿の中間に位置し、臣下が着座する政庁としての役割を担いました。

構造と堂数

朝堂には、官司ごとに「朝座」と呼ばれる席が設けられ、着座する堂が決まっていました。堂の数は時代や宮によって異なり、例えば後期難波宮や長岡宮では8堂、その他は概ね12堂でした。ただし、大化の改新時の難波長柄豊碕宮では、少なくとも14堂が並んでいたことが発掘調査で判明しています。

朝堂院全体の配置は、藤原宮、難波宮、長岡宮、平安宮では、北から大極殿、朝堂、朝集殿の順に並ぶ形態が一般的でしたが、平城宮のみは異なっていました。

朝座

朝堂には、親王、太政官、八省などの長官以下の官人が着座する朝座がありました。朝座は個人に与えられ、腰掛けと茵で構成され、官位によって種類や材質が細かく規定されていました。

朝政と朝儀

朝堂は、朝政と呼ばれる政務と、朝儀と呼ばれる儀式の場でした。朝政は、天皇が文武百官の参列のもとで政務を執り行うことで、朝廷の政務全般を指す場合もありました。朝儀は、天皇即位儀や元日朝賀、任官などの儀式や、節会や外国使への饗宴など、さまざまな公の儀式を指します。

朝堂の起源と変遷

朝堂は、中国の都城における中心的な殿舎を参考に、日本の都城に取り入れられました。日本では、小墾田宮の「庁」が朝堂の起源と考えられています。

小墾田宮の「庁」

小墾田宮は、推古天皇の時代に造営された宮で、南門の北に諸大夫が勤める「庁」が左右に並び、その間に「朝庭」がありました。「庁」は、後の朝堂の起源と考えられています。

難波長柄豊碕宮の朝堂

難波長柄豊碕宮は、大化の改新後に孝徳天皇らが遷都した宮で、東西に14堂の朝堂がありました。各殿舎は小規模でしたが、中央の「朝庭」が広大で、重要な儀式や政務が行われました。

藤原宮の朝堂

藤原宮は、条坊制が採用された初の本格的な都城で、12堂の朝堂がありました。殿舎は難波長柄豊碕宮よりも規模が大きく、瓦葺の建物でした。

平城宮の朝堂

平城宮では、2つの異なる様式の朝堂が並存していました。一つは従来の12堂からなる朝堂院、もう一つは4堂からなる特異な形式の朝堂でした。

長岡宮・平安宮の朝堂

長岡宮では、朝堂院の規模が縮小され、8堂の朝堂がありました。平安宮では、大極殿と朝堂が一体化し、朝堂院の西側に豊楽院が並置されました。

朝堂機能の変容

律令制の変質とともに、朝堂での政務は儀式化が進み、規模も縮小していきました。平安時代には、朝堂での儀式は内裏の紫宸殿で行われるようになり、朝堂は再建されませんでした。しかし、朝堂は古代日本の政治と儀式において、重要な役割を果たした施設でした。

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