朝里岳

朝里岳（あさりだけ）

朝里岳は、北海道札幌市南区定山渓と小樽市、赤井川村の境界が交わる地点にそびえる標高1280.6メートルの山です。近隣の余市岳、白井岳と合わせて「余市三山」として知られています。

大正時代から山スキーの愛好家に親しまれており、現在では札幌国際スキー場からのリフトが山の北肩まで延び、手軽にアクセスできるようになっています。

名称の由来

山名は、朝里川の源流であることに由来します。「朝里」の語源は、アイヌ語の「マサル」（砂浜沿いの草原）が訛ったものとされています。

また、1863年（文久3年）に編纂された『西蝦夷日誌』には、異説として「アツウシナイ」（楡皮多き沢）が訛ったものとする説も記録されています。

地形と地質

朝里岳の山体は玄武岩で形成されており、全体として緩やかな傾斜を持つ円錐形をしています。北側は朝里峠付近まで緩斜面が広がっていますが、大規模な地滑りによって地形の削剥が進んでいるのが特徴です。

北西に伸びる支尾根の先端には、岩塔や岩稜が点在し、ロッククライマーの間で「大統領岩」や「グレポン岩」といった愛称で呼ばれています。

山の南側には、南北約2キロメートル、東西約1キロメートルの広さを持つ緩やかな山頂斜面が広がっており、これは火山活動によって形成された原面と考えられています。地形図から推定される溶岩の厚さは約60メートルで、山全体の高さと比較すると、それほど厚くはありません。

余市岳へと続く広大な山頂緩斜面は、別名「飛行場」とも呼ばれ、吹雪に見舞われると方向感覚を失いやすく、遭難事故が多発する場所として知られています。視界が悪くなると非常に危険なため、注意が必要です。

この「飛行場」の東側は、噴出した溶岩と、基盤をなす中新世の安山岩・流紋岩との境界にあたり、急峻な崖となっています。また、「飛行場」の南端には、標高1300メートル前後の円錐形の小高い丘が二つ並んでいます。

朝里岳は、その美しい景観と多様な地形から、登山やスキーなど様々なアクティビティを楽しむことができる山です。しかし、天候によっては厳しい自然環境となるため、十分な準備と注意が必要です。

参考文献
『さっぽろ文庫』北海道新聞社
『札幌地名考』〈さっぽろ文庫1〉1977年9月26日。
『札幌の山々』〈さっぽろ文庫48〉1989年3月27日。ISBN 4-89363-047-4。
『地形と地質』〈さっぽろ文庫77〉1996年6月27日。ISBN 4-89363-076-8。
『新版 北海道の山と谷1 札幌近郊・道央・道南』富士コンテム、2017年6月20日。ISBN 978-4-89391-759-1。
関秀志 編『札幌の地名がわかる本』亜璃西社、2018年11月16日。ISBN 978-4-906740-34-5。

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