本城嘉守

本城嘉守：軍人から初代徳山市長へ

本城嘉守（ほんじょう よしもり）は、1877年（明治10年）8月14日に生まれ、1960年（昭和35年）6月13日に没した、日本の陸軍軍人、そして政治家です。彼は初代徳山市長（現・周南市）を務めました。父は本城宣馬、祖父は徳山七士の一人である本城清です。

軍人としての経歴

1890年（明治23年）、東京府立第一中学校（現在の日比谷高校）に入学。1895年（明治28年）に陸軍士官学校へ進み、1902年（明治35年）には歩兵第27連隊に中尉として任官し、旭川駐屯地に赴任しました。翌1903年（明治36年）には陸軍大学校に入学。

1904年（明治37年）2月7日、陸軍大学が閉鎖され、即日原隊へ復帰するよう命じられます。同年2月10日、日本はロシアに宣戦布告し、日露戦争が開戦。嘉守は8月に旭川駐屯地の第7師団に動員され、9月には大尉に任官、第7師団歩兵第27連隊第2大隊第6中隊長となりました。同年10月25日に旭川を出撃、11月に大阪から出港し、20日に大連へ上陸、第3軍傘下に入ります。

11月26日には第3軍第3回旅順要塞総攻撃に、11月30日には歩兵第27連隊の203高地攻撃に参加。ここで伝令将校の乃木保典少尉と出会っています。12月1日には、徳山七士殉難の同志である児玉源太郎参謀総長が第3軍の攻撃再興を指導しました。12月3日から5日にかけて第7師団歩兵第27連隊は残存兵力を結集し最後の突撃を敢行、12月5日についに第7師団は203高地を占領しました。

当時の逸話として、「203は7で割れる。よって第7師団は必ず203高地を取れる。しかし割った答えは29（肉）、つまり第7師団の肉弾戦のみが203高地を奪取できる」という壮絶な覚悟があったとされています。凄惨な肉弾戦の末、203高地を奪取しました。翌年9月、ポーツマス条約により日露戦争は終結。嘉守は功五級金鵄勲章、勲四等旭日小綬章に叙せられました。

1908年（明治41年）には陸軍大学校を卒業。1911年（明治44年）に少佐へ昇級し、歩兵第25連隊大隊長となります。1918年（大正5年）には中佐に昇級。1917年（大正6年）の訓令により第一次世界大戦を視察しました。従軍中、第一次世界大戦において使用された新兵器（戦車、飛行機、毒ガスなど）、また戦術の大変化を目の当たりにした事は、後の陸軍歩兵学校の教育訓練、あるいは操典・陣中要務令改定に大いに役立ったとされています。

この欧州視察団により科学技術の導入、火力機動力の増強、これに伴う編成や教育訓練強化等が要求されました。この為同年、陸軍省は軍事調査委員会を設け、大正8年相談委員会議開催、同10年には作戦資材会議が設けられました。同時に視察団は次なる兵器は航空機が主役となる事を察知し、日本防衛の為には防空対策が不可欠であるとの確信を持ち、防空研究がスタートする事となります。

1919年（大正8年）、陸軍大佐に昇級し、歩兵学校教導連隊長となります。1921年（大正10年）、陸軍航空学校教官兼陸軍航空学校下志津分校長に就任。翌1922年（大正11年）には陸軍航空学校教育部長、1923年（大正12年）には陸軍少将・歩兵第10旅団長となります。1927年（昭和2年）、対馬要塞司令官。翌1928年（昭和3年）、予備役に編入されました。

政治家としての経歴

1929年（昭和3年）、徳山町長に就任。1935年（昭和10年）に徳山町が徳山市となると、市長に就任しました。1939年（昭和14年）に任期満了で退任。山口県在郷軍人会会長なども歴任しました。戦後、公職追放となります。

1960年（昭和35年）、82歳で永眠。

栄典

1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章

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