朱褒

朱褒の生涯と反乱

朱褒（しゅ ほう）は、中国の後漢末期から三国時代に生きた歴史的人物であり、具体的な生没年は明らかではありません。彼は益州牂牁郡、または朱提郡の出身で、『三国志』の蜀志に記されているように、蜀漢の歴史に重要な位置を占めていました。さらに、『華陽国志』の南中志にも彼に関する記述があります。

反乱の発端

朱褒は、蜀漢を建国した劉備が亡くなった後、南中地方において反乱を起こしました。具体的には建興元年（223年）の夏、彼は牂牁郡の郡丞という地位を持ちながらも、反乱の先駆けとなった有力者・雍闓の呼びかけに応じて太守を名乗り、蜀に対して反旗を翻しました。この時期、朱褒と同様に越巂郡において蜀に反抗的な姿勢を見せていた高定も再び反乱を起こしました。

反乱の背景

朱褒が反乱に至った背景には、彼に対する諸葛亮からの監視がありました。益州従事の常房が朱褒の主簿を詰問し、朱褒を疑って斬首する事件が発生します。これに対し、朱褒は常房を殺害した上で、あたかも反乱を企んだとして逆に彼を誣告しました。このような状況に対処するため、諸葛亮は常房の息子たちを斬首し、弟を流刑にすることで朱褒を懐柔しようとしましたが、朱褒の心情を変えるには至りませんでした。

諸葛亮の対応

この非常事態を受け、諸葛亮は戦略を練り直し、雍闓らの軍を支援するため呉の鄧芝を派遣し、外交関係を修復しました。その後、建興3年（225年）春、諸葛亮自ら軍を率いて南中に向かい、李恢との合流後、蜀軍は勢力を拡大しました。これを見た雍闓らは動揺し、内部での確執が生じることとなります。この結果、高定の部下が雍闓を殺害し、高定自身も諸葛亮の軍に敗れ処刑されました。

南中の制圧

最終的には、朱褒の軍勢も駆逐され、同年の秋に諸葛亮は南中の4郡を平定し、牂牁太守には馬忠が任命されました。このように、朱褒は一時的に蜀に挑戦したものの、諸葛亮の巧妙な軍事戦略によりその運命を大きく変えられることとなったのです。

三国志演義での描写

小説『三国志演義』においては、朱褒は益州南部の三郡の太守として描かれています。この物語では、南蛮の王である孟獲の扇動に呼応して反乱を起こす役割が与えられています。諸葛亮は南蛮征伐の軍を編成し、まず高定を降し、彼を利用して朱褒を襲撃し、刺殺に至るという巧妙な策略を展開します。

朱褒の歴史は、三国志の中で謎めいた人物として、さまざまな解釈がなされているため、彼の行動や影響についての研究は今でも続いています。

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