杉山六蔵

杉山 六蔵

杉山 六蔵（すぎやま ろくぞう）は、明治23年（1890年）1月4日に東京府で、農商務省の官吏であった杉山栄蔵の五男として生を受けました。その生涯は昭和22年（1947年）6月6日に閉じられるまで、日本の海軍軍人としての道を歩みました。最終的な階級は海軍中将です。

鳥取中学校で学んだ後、海軍兵学校に入学。第38期生として、明治43年（1910年）7月に次席という優秀な成績で卒業しました。翌年12月には海軍少尉に任官し、軍歴を開始します。さらに、大正6年（1917年）11月には海軍水雷学校高等科を優等で修了するなど、初期からその能力を示しました。駆逐艦「天津風」乗組員を務めた後、海外での勤務経験も積み、オランダに駐在。帰国後は巡洋艦「矢矧」の水雷長、駆逐艦「夕暮」、「春風」の各駆逐艦長を歴任し、海上での指揮経験を積みました。

その後のキャリアにおいては、海軍大学校への進学が重要な転機となります。大正13年（1924年）11月に海軍大学校甲種第22期を卒業。これは海軍のエリートコースとして知られる課程でした。卒業後は、第6号駆逐艦（後の「早苗」）の艦長を務めた後、海軍省軍務局第一課の局員として中央での勤務を経験します。さらに、第2艦隊参謀、軍令部出仕、第1艦隊兼連合艦隊参謀として主要な艦隊や中枢の幕僚を務めました。また、母校である海軍大学校の教官として後進の指導にもあたっています。

現場の指揮官としても手腕を発揮し、軽巡洋艦「由良」、重巡洋艦「青葉」、「八雲」、戦艦「日向」といった主要な艦艇の艦長を歴任しました。昭和11年（1936年）12月には海軍少将に進級し、将官の階梯を上ります。その後は、支那方面艦隊兼第3艦隊の参謀長として大陸方面での作戦立案に関与。第11戦隊司令官、横須賀警備戦隊司令官、第18戦隊司令官といった重要な部隊の指揮官を歴任しました。昭和15年（1940年）11月には海軍中将となり、太平洋戦争開戦を目前に控えた海軍の要職を担う立場となります。

太平洋戦争開戦時、杉山中将は第三遣支艦隊司令長官として中国方面での任務に就いていました。その後、戦局が拡大する中で、第三南遣艦隊司令長官としてフィリピン方面での作戦指揮を担います。戦争末期には、海軍の技術・兵器開発の中枢である艦政本部長、そして電波本部長を兼務し、敗色濃い中でも海軍力の維持・再建に努めました。

そして、終戦時には佐世保鎮守府の司令長官として、日本の敗戦とその後の混乱期を海軍の最前線で迎えました。終戦後の昭和20年（1945年）11月、予備役に編入され、長きにわたる軍務を終えます。

昭和22年（1947年）6月6日に死去しましたが、同年11月28日には、生前の公職追放の対象として仮指定を受けることとなりました。

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