李始

李始の生涯と功績

李始（りし、? - 338年）は、五胡十六国時代の成漢で活躍した歴史的人物です。彼は字を伯起とし、父は李特で、初代皇帝李雄の異母兄にあたります。出身地は現在の甘粛省秦安県にあたる略陽郡臨渭県です。彼の存在は当時の政治情勢に大きな影響を与えました。

初期の経歴

永寧元年（301年）10月、父の李特が西晋から自立した際、李始は武威将軍として任命されました。このとき彼は、成漢の基盤作りに力を注ぎ、後の成漢の発展に重要な役割を果たすことになります。さらに、建興元年（304年）の10月、弟の李雄が成漢を興すと、彼は太保に昇進し、折衝将軍も兼任しました。

彼は軍の指導者としての才覚を発揮し、多くの士人を優れた人材とし、彼のもとに帰属する者も少なくありませんでした。「老後を養いたいならば、太保に属するべきだ」と人々が語ったという言葉は、彼の高い人気を示しています。

軍事的な成功

玉衡元年（311年）1月、李始は李驤と共に巴西を攻め、守将である文碩を討ち取りました。この戦闘は彼にとって大きな成功であり、成漢の勢力を拡大する一助となりました。彼の軍事的能力は、地域の安定と発展にも寄与しました。

政治的動乱と裏切り

玉衡24年（334年）6月、彼の弟李雄が崩御すると、李班が帝位を継承しますが、9月には李期によって殺害される運命にありました。ここから李始の苦境が始まります。彼は征東大将軍に任じられ、李越に代わり江陽を守ることになりました。

この時期、李始は漢王李寿のもとを訪れ、共に李期に立ち向かうことを提案しましたが、李寿はこれに同意しませんでした。失望した李始は反対に李期に接触し、李寿を捕えるよう説得を試みましたが、彼の意見は再び却下されてしまいます。こうした不和や不信が彼にとっての難しい局面を生むこととなりました。

最後の時

玉恒4年（338年）、李寿が成都を攻め落とし、皇位を簒奪するという事態が発生します。この混乱の中、李始は自身の兄弟たちと共に誅殺される運命を辿ります。彼の死は、成漢の分裂と混乱の象徴とも言える出来事でした。李始は、その生涯を通じて成漢に多大な影響を及ぼし、またその苦悩を背負って亡くなった重要な人物であったと言えるでしょう。

参考文献

• - 『晋書』載記第20・21
• - 『十六国春秋』巻80

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