李時勉

李時勉（り じべん）は、明代に活躍した儒学者であり、官僚です。洪武7年（1374年）に生まれ、景泰元年（1450年）に77歳で亡くなりました。字は時勉（じべん）、号は古廉（これん）といい、字の時勉で広く知られています。本貫は吉安府安福県です。

生涯

李時勉は、李思誠（りしせい）と周氏（しゅうし）の間に生まれました。幼少の頃から学問に励み、冬の寒さの中、寝具で足を包み、桶に入ってまで書物を読み続けたという逸話が残っています。

永楽2年（1404年）、進士に及第し、翰林院庶吉士に選ばれます。その後、文淵閣に進学し、『太祖実録』の編纂に携わりました。永楽10年（1412年）には刑部主事に任じられ、実録の重修にも参加。実録完成後、翰林院侍読に転じました。

李時勉は剛直な性格で、常に国家のことを憂慮していました。永楽19年（1421年）、宮殿で火災が起きた際、永楽帝が意見を求めたのに対し、李時勉は時務十五事を上奏しました。この中で、北京の都城建設に反対するなど、皇帝の意にそぐわない意見も述べましたが、多くは採用され、実行に移されました。しかし、その後、讒言により投獄されてしまいます。永楽21年（1423年）に釈放され、楊栄（ようえい）の推薦で復職を果たしました。

洪熙元年（1425年）、洪熙帝に上書した際、帝の怒りを買い、便殿に呼び出されて叱責されましたが、李時勉は意見を曲げませんでした。帝は武士に金瓜で殴打させ、肋骨を三度折られ、瀕死の状態に陥りました。翌日、交趾道御史に転出となりますが、さらに意見を上奏したため、錦衣衛の獄に再び投獄されてしまいます。幸い、錦衣衛の千戸が李時勉に恩義を感じていたため、適切な拘留を行い、密かに医者を呼んで治療を受けさせたため、命拾いをしました。洪熙帝は夏原吉（かげんきつ）に「李時勉は朝廷で私を辱めた」と述べましたが、その日の夕方、洪熙帝は亡くなります。

宣徳元年（1426年）、李時勉が先帝に罪を得ていたことを知った宣徳帝は、李時勉を連行するよう使者に命じました。しかし、途中で気が変わり、西市で斬首するように王指揮に命じました。しかし、王指揮が西門から出たとき、別の使者が東門から李時勉を連行してきたため、すれ違うという奇妙な状況になりました。宣徳帝は李時勉を問い詰め、「なぜ先帝を怒らせたのか」と尋ねると、李時勉は「諒闇（りょうあん）中に妃嬪を近づけるのはよろしくなく、皇太子が側近を遠ざけるのもよろしくない」と答えます。これを聞いた帝は、自らの行いを恥じ、李時勉を釈放し、侍読の官に復帰させました。

宣徳5年（1430年）には『成祖実録』が完成し、李時勉は侍読学士に昇進します。宣徳帝が史館を訪れた際、学士たちに金銭が与えられましたが、他の学士が皆俯いて受け取る中、李時勉だけが直立していたため、帝は残りの銭を李時勉に与えました。正統3年（1438年）には『宣宗実録』が完成し、翰林院学士に進み、翰林院の事務を管掌し、経筵官を兼ねました。正統6年（1441年）には、貝泰（ばいたい）に代わって国子祭酒に就任しました。正統8年（1443年）には、太学が修築された際、聖賢を祭って竣工を報告しました。その後、致仕を願い出ますが、許可されませんでした。

正統9年（1444年）、太学で釈奠の儀式を行い、英宗に『尚書』を進講しました。続けて致仕を願い出ますが、これも許可されません。正統12年（1447年）春、ついに致仕が許され、多くの人々に見送られながら都を去りました。

正統14年（1449年）に土木の変が起こり、英宗がオイラトに連行されると、孫の李驥（りき）を派遣して上書し、将を選んで練兵し、君子を近づけ、小人を遠ざけ、忠節を表彰し、英宗の身柄を取り戻し、仇を討って恥を雪ぐよう訴えました。

景泰元年（1450年）4月12日、李時勉は77歳で亡くなりました。諡は文毅（ぶんき）とされましたが、後に忠文（ちゅうぶん）と改められ、礼部侍郎の位が追贈されました。著書に『古廉文集』11巻と『詩集』1巻があります。

李時勉の生涯は、その剛直な性格と国家への忠誠心、そして学問に対する情熱を示すものでした。彼は困難に屈することなく、自らの信念を貫き通し、後世に多大な影響を与えました。

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