李正己

李 正己 (り せいき)

李正己（732年 - 781年）は、唐代における重要な軍人であり、平盧淄青節度使を務めた人物です。本名は懐玉で、高句麗の出身です。

経歴

李正己は営州で生を受け、その後、営州副将として頭角を現しました。758年、平盧節度使の王玄志が早逝すると、正己は王の子が後を継ぐことを恐れ、その命を絶つ決断をします。そして、彼は侯希逸を新たな軍帥として擁立し、自身も軍隊の重要な役割を担うことになります。正己は侯希逸の母方の従弟であったため、この行動は意図的でありました。

その後、正己は侯希逸と共に青州に進出し、折衝将軍に昇進しました。762年には軍を率いて史朝義を討伐し、鄭州に到達するなどの軍功を上げます。この時、唐の援軍である回紇が暴力的な行動を取っていましたが、正己は単独で回紇と対峙し、その首領を捕らえ、屈辱を与えました。この出来事は、唐軍の士気を高め、回紇の暴走を抑える重要な一因となりました。

職務と名声

正己は平盧淄青節度使の侯希逸の下で兵馬使として勤め、沈毅な性格と周囲からの信頼を築き上げました。しかし、侯希逸が何らかの事件によって正己の職を解任すると、軍の士気は低下し、解任は不当であるとされました。765年、侯希逸が追放されると正己は再び軍の指揮を執り、朝廷から様々な重要職に任命されることになります。平盧淄青節度営田観察や陸運海運押新羅渤海両蕃使、さらには検校工部尚書など、多くの職務を兼任し、彼の影響力は拡大しました。

正己は青州、淄州、斉州など広域を管轄し、田承嗣や令狐彰、薛嵩、李宝臣など他の節度使と連携し、権力を保持しました。大暦年間には、李霊曜によって起こされた乱を鎮圧し、曹州、濮州、徐州などを獲得しました。775年には検校尚書右僕射に任じられ、饒陽郡王に封じられます。

晩年と死

後に正己は青州から鄆州へと拠点を移し、彼の息子である李納や忠臣たちに淄青地域を統治させました。780年、汴州に築城された際、唐朝による討伐を恐れ、兵を済陰に移し、厳戒態勢を敷くことになります。しかし、781年に疽を患い、50歳でこの世を去ります。彼の死は数ヶ月間李納によって隠され、政権は彼に委ねられた後、正式に喪が発表されました。784年に李納が唐に帰順すると、正己は太尉に追贈されました。

伝記資料

李正己の人生についての詳細は、『旧唐書』や『新唐書』に記されています。これらは彼の政治的な影響力と軍事的業績を理解するための貴重な資料です。

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