李翺

李翺の生涯と思想

李翺（りこう、772年 - 841年）は、中国唐代の著名な文人であり、本名は習之でした。彼は汴州陳留県に生まれ、本貫は隴西郡狄道県にあたります。彼は西涼の武昭王の曾孫であり、歴史的にも重要な家系に属していました。

貞元14年（798年）、李翺は進士に合格し、官吏としてのキャリアをスタートさせました。次第に彼は国子博士に任命され、続いて史館修撰という役職を持つようになりました。818年には考功員外郎も兼任していましたが、その後の政治的変動により朗州刺史や廬州刺史といった地方の役職に左遷されました。しかし、大和元年（826年）に文宗が即位すると、李翺は再び中央に戻り諫議大夫となり、すぐに知制誥の役職に就きました。

彼はその後も様々な役職を歴任し、大和7年（833年）には潭州刺史に就任し、さらには大和9年（835年）から湖南観察使や検校戸部尚書、襄州刺史、最終的には山南東道節度使に任命されました。しかし、彼は襄州でその生涯を閉じることになります。李翺の死後、彼には「文公」という諡号が贈られました。

李翺の思想と文学

李翺は韓愈の高弟としても知られ、士を愛する姿勢が個人的な特性として強調されています。彼は人々の中に一つでも良い面や能力を見つけると、それを必ず称賛し、賢者を昇進させる機会を常に模索していたと言われています。彼の思想においては、人間の本性を「本善」とする考え方がありました。この観点は、李翺の著作『復性書』において詳述されています。

彼の思想によると、人の性は本来善であるものの、感情が湧き起こることで悪が伴うとされています。つまり、物事が感覚器官に触れたときに感情が発生しない状態を「復性」と考え、精神的な修養を重視したのです。李翺はその考えにおいて、韓愈から受け継いだ排仏の主張を取り入れつつも、仏教と道教の思想を融合させ、特に禅宗の達観に影響を受けた見解を持っていました。

李翺は若いころ、皇甫湜と共に韓愈の文章技法を学びました。彼は皇甫湜が示す韓愈の奇抜な表現に対して、より平易で理解しやすい表現を使うことで知られています。彼の文学的な功績は、韓愈の墓碑銘を任されるほど高く評価されていたことからも伺えます。

李翺の著作は『李文公文集』としてまとめられており、彼の思想や詩的表現は後世に多大な影響を与えたことが確認されています。彼の文学作品や思想は、今なお研究され続けています。

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