高梨政頼

高梨政頼（たかなし まさより）

戦国時代の武将で、信濃国中野を拠点とした国人領主、高梨氏の一族です。上杉謙信（当時は長尾景虎）に味方し、武田信玄と激しく戦いました。

生涯

高梨氏は信濃国中野を本拠とする国人です。政頼は高梨澄頼の子として生まれ、母は長尾能景の娘と伝えられています。祖父の高梨政盛が全盛期を築きましたが、その死後、高梨氏は信濃村上氏の攻勢や近隣の長沼島津氏、井上氏、須田氏ら上杉定実派との対立により、一時的に衰退しました。政頼自身も大永4年（1524年）に領国を追われる経験をしています。

その後、越後国の長尾為景の支援を受けたこともあり、上杉派の豪族との和解や敵対勢力の打倒に成功しました。享禄3年（1530年）には、為景に従い越後三分一原に出陣し、上条上杉氏の反乱を鎮圧しました。

天文6年（1537年）2月17日には従四位下に叙せられ、天文13年（1544年）7月22日には、禁裏御所修理費用献上の功績により従四位上に昇叙されました。

甲斐武田氏が信濃へ侵攻してくると、政頼は村上氏と和睦し連合して2度にわたりこれを撃退しました。しかし、村上氏が配下の屋代氏らに離反されて敗北すると、高梨氏は他の北信濃の国衆と共に武田氏への抵抗を続けました。弘治3年（1557年）2月、武田軍は水内郡葛山城を落とし、高梨氏の本拠地である中野・高梨氏館に迫る勢いを見せました。同年4月には、長尾景虎（後の上杉政虎）が北信に出兵しますが、中野北部の志久見郷の市河氏など、武田方に寝返る国衆も現れ、高梨氏は挟撃の危機に直面しました（第三次川中島の戦い）。

第四次川中島の戦いに先立つ永禄2年（1559年）3月、武田方の海津城代・春日虎綱（高坂昌信）の攻撃により、高梨氏館（中野城）は陥落。政頼は本拠地を追われ、飯山城まで後退を余儀なくされました。これにより、高梨氏は独立した国人領主としての力を失い、長尾家（翌年には上杉に改姓）への依存度を高めていくことになります。

永禄4年（1561年）に上杉政虎が後北条領国へ侵攻した関東侵攻の際には、飯山城に残っていたと推測されます。同年9月の第四次川中島の戦いには、子の高梨秀政・高梨頼親らと共に参陣し活躍しましたが、旧領を取り戻すことはできませんでした。

晩年については詳しい記録が残っておらず、第四次川中島の戦い以前に亡くなったとする説もあります。また、真田信繁の家臣である高梨内記を政頼の子、あるいは子孫とする説がありますが、確証はありません。

脚注

高梨政頼は、上杉謙信の信頼厚い武将として知られ、その武勇は多くの記録にも残されています。

参考文献

丸島和洋『真田一族と家臣団のすべて』KADOKAWA〈新人物文庫〉、2016年。ISBN 978-4-04-601099-5。
田中豊茂『信濃中世武家伝』信濃毎日新聞社、2016年。

関連項目

長野県 中野市
高梨氏館（国の史跡） - 別名・中野城。高梨政盛が築き始め、政頼の代に完成した高梨氏の居館です。
鴨ヶ嶽城 - 政盛が築城した高梨氏の詰めの城です。
黒姫伝説 - 地元に伝わる伝承で、黒姫は政頼とは兄弟の設定になっています。

関連作品

『天と地と』（1969年NHK大河ドラマ、演：清水元）
* 『風林火山』（2007年NHK大河ドラマ、演：大鷹明良）

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