村田扶実子

村田扶実子：昭和を彩る名脇役

村田扶実子（むらた ふみこ、1907年11月28日 - 没年不詳）は、日本の映画および舞台女優です。本名は村田嘉寿代。東京都出身で、女優の村田知栄子を妹に持ちます。

兵庫県神戸市で育ち、松蔭高等女学校を卒業後、1927年に宝塚歌劇の国民座に入団しました。その後、曾我廼家十吾一座や渋谷天外の松竹家庭劇を経て、1937年には水谷竹紫、水谷八重子らが率いる芸術座に入団。舞台を中心に活動の幅を広げました。戦後は、大阪松竹の新春座などを経て、1956年に大映に入社。同社専属女優となりました。

大映時代は、数多くの映画作品に出演。キャリアの後半は、老け役としてその存在感を示しました。特に、増村保造監督作品には欠かせない重要な脇役として出演しており、その演技力は高く評価されています。

彼女の演技は、単なる老け役という枠を超えていました。それぞれの役柄に独自の深みと個性を吹き込み、作品にリアリティと奥行きを与えていました。老いた女性の様々な表情や感情を繊細に表現し、見る者の心に深く刻まれる演技を披露しました。

大映での映画出演と並行して、舞台活動も継続。北条秀司作品などにも頻繁に出演し、舞台と映画の両分野で活躍しました。晩年にはテレビドラマにも出演するなど、精力的に活動を続けました。

主な出演作品には、映画『女の肌』（1957年）、『永すぎた春』（1957年）、『くちづけ』（1957年）、『地上』（1957年）、『暖流』（1957年）、『春高樓の花の宴』（1957年）、『巨人と玩具』（1957年）、『赤線の灯は消えず』（1958年）、『氾濫』（1959年）、『美貌に罪あり』（1959年）、『細雪』（1959年）、『女経　第三話　恋を忘れていた女』（1960年）、『銀座のどら猫』（1960年）、『偽大学生』（1960年）、『恋にいのちを』（1961年）、『怪談蚊喰鳥』（1961年）、『女は二度生れる』（1961年）、『妻は告白する』（1961年）、『江梨子』（1962年）、『その夜は忘れない』（1962年）、『女の一生』（1962年）、『黒の報告書』（1963年）、『嘘』（1963年）、『越前竹人形』（1963年）、『卍』（1964年）、『黒の超特急』（1964年）、『兵隊やくざ』（1965年）、『大怪獣ガメラ』（1965年）、『雁』（1966年）、『白い巨塔』（1966年）、『妻二人』（1967年）、『にせ刑事』（1967年）、『セックス・チェック 第二の性』（1968年）、『でんきくらげ』（1970年）、『遊び』（1971年）などがあります。テレビドラマ『ザ・ガードマン』（TBS）、『火曜日の女シリーズ』（日本テレビ）にも出演しています。舞台では『華やかな夜景』などに出演しました。

村田扶実子は、数多くの作品を通じて、昭和時代の日本の映画・演劇史に貴重な足跡を残しました。彼女の演技は、後世の俳優たちにも大きな影響を与え続けています。その功績は、日本映画史において高く評価されるべきものです。

参考文献：『日本映画俳優全集　女優篇』（キネマ旬報社、1980年）

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