村田知栄子

村田知栄子：昭和を彩った女優の生涯

村田知栄子は、1915年2月28日、兵庫県神戸市に生まれ、1995年11月に亡くなった日本の女優です。本名は村田美代子。旧芸名に村田智栄子、村田千栄子、村田千英子、村田知英子など複数あります。

彼女の芸能活動は、兵庫県御影師範学校附属小学校（現：神戸大学附属住吉小学校）と松蔭高等女学校（現：松蔭中学校・高等学校）卒業後、1933年に日活太秦に入社したことから始まります。デビュー作は伊奈精一監督の現代劇映画『大東京曇後晴れ』。その後、『夢に見る母』や『嫁ぐ日』といった作品で主演を務め、明朗な娘役として人気を集めました。

1936年には日活多摩川撮影所に移籍し、活躍の場を広げます。小杉勇と共演した『人生劇場』、岡譲二と共演した『恋は雨に濡れて』、時代劇『裸の町』で島耕二と共演するなど、数々の作品に出演。日活や大映の作品を中心に、幅広い役柄を演じました。

戦後も、松竹や大映で脇役として活躍を続け、テレビドラマにも進出。晩年は、年齢を重ねた女性を演じるなど、キャリアの幅を広げました。

彼女の芸歴は実に長く、多様なジャンルで活躍しました。時代劇から現代劇まで幅広い演技力を持ち、観客を魅了しました。特に、戦前の映画黄金期においては、数々の名作に出演し、日本の映画史に貢献したと言えるでしょう。

私生活では、俳優の見明凡太朗と結婚していました。また、彼女の姉である嘉寿代も「村田扶実子」として、芸術座や大映で活躍した女優でした。芸能一家に育ち、幼い頃から芸能界に触れてきたことが、彼女の女優としての才能を育んだのかもしれません。

特技は三味線と伝えられており、多様な才能を持つ女性であったことが伺えます。1982年には、有名トーク番組『徹子の部屋』に出演したこともあり、幅広い世代に知られた存在でした。

彼女の出演作品は膨大で、映画だけでも『大東京雲後晴れ』『子供バンザイ』『心の太陽 前後篇』『剛ちゃんの人生日記』『嫁ぐ日』『夢に見る母』『三つの真珠』『なみだの母』『新女性大学』『ためらふ勿れ若人よ』『十二番の聖歌』『人生天気予報』『緑の地平線 前篇』『緑の地平線 後篇』『人生劇場』『恋は雨に濡れて』『非常線』『隣の奥さん』『気まぐれ夫婦』『細君三日天下』『小市丹兵衛 追いつ追はれつの巻』『悦ちゃん』『裸の町』『悦ちゃんの涙』『公園裏の兄妹』『悦ちゃんの千人針』『大金剛の譜』『鴛鴦道中』『敵前渡河噫!友田伍長』『忠臣蔵 地の巻』『忠臣蔵 天の巻』『姉ごころ』『人生劇場 残侠篇』『アパート交響曲』『杉狂の催眠術』『奥様御出勤』『青春の流れ』『祖国の花嫁』『露営の灯』『土』『純情の眸』『女性の力』『光われ等と共に』『婦人従軍歌』『汐風の乙女』『風と共に』『父に祈る』『三女性』『米若の妻』『結婚記』『百万円の人生』『愛の一家』『母なき家の母』『次郎物語』『山参道』『あなたは狙はれてゐる』『怒りの海』『姿なき敵』『最後の帰郷』『別れも愉し』『君かと思ひて』『絢爛たる復讐』『仮面の街』『象を喰った連中』『深夜の市長』『第二の抱擁』『消えた死体』『長崎物語』『安城家の舞踏会』『花ひらく』『受胎』『風の中の牝鶏』『恋愛教室』『東京の門』『左近捕物帖 鮮血の手型』『偽れる盛装』『泥にまみれて』『虎の牙』『離婚結婚』『母待草』『哀愁の夜』『慶安秘帖』『母の山脈』『丹下左膳』『稲妻』『現代処女』『愛情について』『胡椒息子』『黒豹』『花の三度笠』『お菊と播磨』『母時鳥』『銭形平次捕物控 幽霊大名』『馬賊芸者』『怪猫逢魔ケ辻』『楊貴妃』『娘の縁談』『あさ潮ゆう潮』『惚れるな弥ン八』『君を愛す』『永すぎた春』『下町』『暖流』『母』『赤胴鈴之助 三つ目の鳥人』『怪猫呪いの壁』『細雪』『母のおもかげ』『情炎』『私の選んだ人』『四谷怪談』『美貌に罪あり』『嫌い嫌い嫌い』『怪談累が淵』『切られ与三郎』『黒い樹海』『女は夜化粧する』『東京おにぎり娘』『女の勲章』『女は二度生れる』『うるさい妹たち』『夢でありたい』『江梨子』『やっちゃ場の女』『鯨神』『瘋癲老人日記』『宮本武蔵 般若坂の決斗』『幸せなら手をたたこう』『黒い雪』『素敵な今晩わ』『恋と涙の太陽』『悪魔が来りて笛を吹く』『玄海つれづれ節』など、多岐にわたります。

テレビドラマにおいても、『松本清張シリーズ』『三匹の侍』『眠狂四郎』『大奥』『細うで繁盛記』『プレイガール』『ワン・ツウ アタック!』『特別機動捜査隊』『走れ!ケー100』『非情のライセンス』『花ぼうろ』『夜明けの刑事』『嫁だいこん』『三日月情話』『桃太郎侍』『江戸を斬るIII』『新・必殺仕置人』『祭ばやしが聞こえる』『続あかんたれ』『土曜ワイド劇場』『特捜最前線』『風鈴捕物帳』『大岡越前』『時よ炎のごとく!』『幻之介世直し帖』『おたき』『水戸黄門』『恋はミステリー劇場』『木曜ゴールデンドラマ』『鳥人戦隊ジェットマン』など、多くの作品に出演し、幅広い役柄を演じきりました。

ラジオドラマにも出演しており、その活動範囲の広さは、彼女がいかに熱心に演技と向き合ってきたかを物語っています。村田知栄子の女優人生は、まさに日本の映画・テレビドラマの歴史そのものと言えるでしょう。

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