東京映画配給

東京映画配給株式会社の歴史

東京映画配給株式会社は1949年10月1日に設立され、日本の映画産業に重要な役割を果たした企業です。この会社は、東映の前身の一社であり、多くの映画作品の配給を行っていました。設立当初は東急資本のもと、京都と東京にスタジオを持つ2つの映画会社、東横映画と太泉スタヂオの制作した映画を配給することが主な業務でした。

設立と初期の活動

この会社は、社長に黒川渉三を迎え、東京都品川区五反田に本社を置きました。設立時の資本金は2,000万円であり、契約館は454スクリーンにも上り、順調なスタートを切りました。最初の配給作品は、松田定次監督、片岡千恵蔵主演の『獄門島』で、1949年11月20日に公開されました。これにより、会社は早くも注目を集めました。しかし、1949年12月には公職追放により取締役が数名辞任するという不運も経験しました。

ヒット作品と経営難

1950年には、資本金を5,000万円に増資し、様々な作品が公開されました。その中でも、監督関川秀雄の『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』は大ヒットを記録し、会社の業績を押し上げる要因となりました。しかし、同年9月には新東宝が配給事業に参入し、戦後の洋画公開の急増も影響し、経営が難しい状況となりました。これを受けて、東横映画と太泉映画との合併を模索するようになりました。

合併と新たなスタート

1951年には巨額の損失を計上し、大幅な経営改革が求められるようになりました。同年2月には社長が退陣し、東急本社の専務取締役が社長を兼務することになりました。そして1951年4月1日、会社は東横映画と太泉スタジオを吸収合併し、商号を「東映株式会社」に変更しました。この合併によって、東横映画の撮影所は「東映京都撮影所」と、太泉スタジオは「東映東京撮影所」として再編され、同社の映画製作と配給の組織が確立されました。

現在の記録と文化的遺産

東京映画配給株式会社が配給したフィルムの一部は、現在でも各地の映画館や公的機関で所蔵されています。例として、東京国立近代美術館フィルムセンターは、同社の配給した東横映画・太泉映画の製作作品を含むいくつかの作品を所蔵しており、神戸映画資料館や福岡市総合図書館も同様の資料を持っています。さらに、2004年にはアメリカのアルファヴィデオから『東京ファイル212』がDVDとして発売されています。

このように、東京映画配給株式会社は、その設立からわずか数年で東映に変革し、日本映画界に大きな影響を与えた企業として、今なおその影響が色濃く残っています。

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