関川秀雄

関川秀雄：社会派から娯楽作品まで、幅広いジャンルで活躍した映画監督

関川秀雄（1908年12月1日-1977年12月16日）は、日本の映画監督として知られています。新潟県佐渡市出身で、旧制中学時代は画家を志望していましたが、旧制新潟高校中退後、映画界へと進みます。

映画界でのキャリア

1936年、PCL（後の東宝）の助監督として上京。黒澤明、丸山誠治らと同期の仲間入りを果たします。当初は製作主任として『田園交響曲』『家庭日記　前篇』などの作品に携わっていました。1944年には東宝の記録映画『大いなる翼・三菱重工業篇』で監督に昇進。その後、黒澤明、山本嘉次郎らとの共同監督作品を経て、1948年には『第二の人生』で単独監督デビューを果たします。

東宝在籍中は、児童向け作品『名探偵ヒロシ君』なども手掛けましたが、東宝争議後に退社。以降は、東横映画、東映、独立プロ、松竹など、様々な製作会社で活躍するフリーランス監督となります。

多様な作品群：社会派から娯楽作品まで

関川監督の作品は、その多様さが特徴です。戦争孤児を描いた『第二の人生』、学徒兵の悲劇を描いた反戦映画『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』、米軍基地拡張反対運動を描いた『爆音と大地』など、社会問題を鋭く捉えた社会派作品を多く手掛けています。一方、刑事ドラマや少年探偵団シリーズといった娯楽作品にも挑戦し、その才能を発揮しました。

また、記録映画の分野でも高い評価を受けています。特に1951年制作の『鉄路に生きる』は、1952年のヴェネツィア国際映画祭教育科学部門で第2位に入賞。この経験を買われ、国鉄職員を題材にした劇映画『大いなる旅路』の監督も務めました。さらに、1953年の『ひろしま』はベルリン国際映画祭長編劇映画賞を受賞するなど、国際的な評価も得ています。1955年の『トランペット少年』も、エディンバラ国際映画祭で受賞を果たしています。

テレビドラマへの進出

映画だけでなく、テレビドラマの演出にも携わっています。1967年には、社会現象を巻き起こした医療ドラマ『白い巨塔』、そして『あゝ同期の桜』の一部エピソードの演出も担当しました。

実兄との繋がり

関川監督の実兄である関川行雄氏は、国鉄の要職を歴任し、新幹線の導入にも関わった人物でした。この縁から、関川監督の元で助監督を務めていた佐藤純弥監督は、『新幹線大爆破』制作にあたり、関川行雄氏に話を聞きに行くなど、兄弟の繋がりは映画界にも影響を与えています。

まとめ

関川秀雄監督は、PCL（後の東宝）時代からフリーランス時代まで、長きに渡り日本の映画界に貢献しました。社会派作品から娯楽作品まで幅広いジャンルを手がけ、記録映画でも高い評価を得た、多才な映画監督でした。その作品群は、戦後日本の社会情勢や人々の生活を映し出す貴重な記録となっています。また、黒澤明監督と同世代として映画史に名を刻み、後進の育成にも貢献した、重要な存在であったと言えるでしょう。

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