東京都立大塚ろう学校

東京都立大塚ろう学校は、東京都豊島区巣鴨に本校を構える、聴覚に障害のある幼児・児童を対象とした公立の特別支援学校です。長い歴史を持ち、日本のろう教育において重要な役割を果たしてきました。

歴史

本校の歴史は、大正時代まで遡ります。大正14年（1925年）、日比谷尋常小学校と萬年尋常小学校（後に上野尋常小学校に改称）の二つの小学校内に、それぞれ聴覚障害のある児童のための特別学級が設けられたのが始まりです。これらの学級は、翌昭和2年（1927年）に「東京市立聾学校」として名目上の統合が認可され、昭和3年（1928年）4月に巣鴨の仮校舎で実質的な統合を果たし、新たな一歩を踏み出しました。

学校の名称は時代と共に変遷しました。昭和18年（1943年）に東京都制が施行されたことに伴い、「東京都立聾唖学校」と改称されます。しかし、昭和20年（1945年）の東京大空襲により校舎が焼失するという困難に見舞われます。戦後の復興を経て、昭和24年（1949年）6月には現在の豊島区巣鴨の地に校舎が完成し移転を完了。この時、校名も現在の「東京都立大塚ろう学校」へと改められました。

教育課程も時代に応じて変化しました。昭和6年（1931年）には4年制の中等部が設置され、一時的には高等部の本科や専攻科も設けられていました。しかし、昭和37年（1962年）には高等部が廃止され、平成18年（2006年）3月には中学部も新設された東京都立中央ろう学校へ移管されました。これにより、現在の学部構成である幼稚部と小学部となりました。

平成18年（2006年）には、東京都における特別支援学校の再編が行われ、都内にあった他のろう学校が廃止されることとなりました。これに伴い、旧東京都立江東ろう学校は本校の「江東分教室」として、旧東京都立杉並ろう学校は東京都立永福学園内に移転の上「永福分教室」として、旧東京都立品川ろう学校は東京都立城南養護学校（現：東京都立城南特別支援学校）内に移転の上「城南分教室」として、それぞれ本校の分教室となりました。平成21年（2009年）には、併設されていた東京都立中央ろう学校が独立校舎へ移転しました。平成23年（2011年）には城南分教室小学部の募集を停止し、平成28年（2016年）には江東分教室の名称が「城東分教室」に変更されました。同年には創立90周年を迎え、その歴史を刻んでいます。

校章

校章は、昭和3年（1928年）3月3日に初代専任校長である大池菅根氏によって制定されました。この校章のデザインは、旧制第一高等学校の校章に敬意を表し、6枚の柏の葉を背景としています。中央に配置された文字はカタカナの「ロ」ですが、これは「ろう（ロウ）学校」の頭文字であると同時に、「口話法」の頭文字である漢字の「口」を象徴しており、当時の教育への願いが込められています。

校歌

校歌は、創立30周年を記念して昭和32年（1957年）6月22日に制定されました。作詞は佐藤昌一氏、作曲は岡本敏明氏が手掛けています。歌詞は全部で2番あり、両番の最後に学校の名前である「大塚校」が登場し、学校への愛着と誇りを歌い上げています。

学部構成

現在の東京都立大塚ろう学校は、以下の二つの学部で構成されています。

幼稚部
小学部

過去には中学部や高等部も設置されていましたが、教育制度の変遷を経て現在の形となりました。

分教室

本校は、都内各地に以下の3つの分教室を設置しています。これらの分教室も、地域の聴覚障害のある児童・幼児に対する教育を担っています。

城東分教室: 東京都江東区大島の東京都立城東特別支援学校内にあります。
永福分教室: 東京都杉並区永福の東京都立永福学園内にあります。
城南分教室: 東京都大田区東六郷の東京都立城南特別支援学校内にあります。

アクセス

本校（豊島区巣鴨）

鉄道：都電荒川線「巣鴨新田駅」または「庚申塚駅」、JR山手線・都営地下鉄三田線「巣鴨駅」が利用可能です。
道路：近傍に国道17号線が通っています。

城東分教室（江東区大島）

鉄道：都営地下鉄新宿線「大島駅」が最寄りです。
バス：都営バス亀21系統「城東特別支援学校前」バス停が利用できます。
道路：東京都道476号線（丸八通り）沿いに位置します。

永福分教室（杉並区永福）

鉄道：京王線・井の頭線「明大前駅」、京王線・東急世田谷線「下高井戸駅」、京王井の頭線「永福町駅」などが利用可能です。
道路：首都高速4号新宿線「永福出入口」が近いです。

城南分教室（大田区東六郷）

* 鉄道：京急本線「雑色駅」が最寄りです。

周辺環境

本校周辺には、保育園、幼稚園、小学校、高校などの教育機関や、巣鴨郵便局があります。各分教室も、それぞれが所在する特別支援学校の敷地内にあり、周辺には他の学校や地域施設が存在します。

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