東北沢駅

東北沢駅

小田急電鉄小田原線の東北沢駅（ひがしきたざわえき）は、東京都世田谷区北沢三丁目に位置する駅です。駅番号はOH 06が付与されています。この駅は、小田急線の代々木上原駅と下北沢駅の間にあり、各駅停車のみが停車する駅として機能しています。

歴史

東北沢駅は、1927年（昭和2年）4月1日に開設されました。開業当初は旅客輸送だけでなく、貨物輸送も取り扱っていました。特に、小田急沿線の河川から採取される砂利を東京方面へ運ぶための貨物列車が運行されており、駅の新宿側には専用の施設も設けられていました。しかし、この貨物取扱いは1966年（昭和41年）に廃止されました。

長年にわたり、小田急線の輸送力増強を図るための複々線化事業が進められ、東北沢駅周辺もその影響を大きく受けることになります。1978年（昭和53年）3月31日には、隣の代々木上原駅までの区間が先行して複々線化されました。その後、当駅を含む代々木上原駅から梅ヶ丘駅にかけての連続立体交差化および複々線化工事が本格的に着手され、2004年（平成16年）9月からは地下化を伴う大規模な工事が始まりました。

工事期間中は、駅の形態が段階的に変化しました。2005年（平成17年）10月1日には、将来の急行線となる2番線と3番線が使用停止となり、2006年（平成18年）11月25日には仮設の橋上駅舎が使用開始され、同時に上り線が仮設ホームへ切り替えられました。その後、2009年（平成21年）4月25日には下り線も仮設ホームに移設されました。地上駅舎や旧ホームの解体、そして新たな地下トンネルや駅施設の建設が進められ、2013年（平成25年）3月23日には当駅から世田谷代田駅までの区間が地下化されました。これにより仮設の地下ホームが使用開始され、地上にあった踏切も撤去されました。

地下化後も工事は続き、駅構造はさらに変化しました。仮設地下ホームは将来の急行線上に設けられていましたが、2018年（平成30年）3月3日、複々線が完全に完成したことに伴い、緩行線上に設置された本設ホームが全面使用を開始しました。これにより、10両編成に対応したホームが実現しました。また、同月17日に行われたダイヤ改正からは、東京メトロ千代田線への直通列車（全区間各駅停車）が当駅に停車するようになりました。

駅ナンバリングは2014年（平成26年）1月に導入され、東北沢駅には「OH 06」が付与されています。現在の地上駅舎は2015年（平成27年）5月16日に使用が開始され、2016年（平成28年）11月26日に全体の完成を迎えました。

駅構造

現在の東北沢駅は、地下に設置された島式ホーム1面4線を有する構造です。小田急小田原線の複々線区間の中央に位置しており、外側の2線が急行線（通過線）、内側の2線が緩行線として使用されています。ホームは内側の緩行線の上下線に挟まれた形になっています。

駅付近では、急行線と緩行線は同じ階層に並行していますが、ホームの下北沢寄りでは両線間に壁が設けられており、急行線は緩行線の下へ潜り込む二層構造となっています。

かつて地上駅だった頃（2006年11月24日まで）は、相対式ホーム2面4線（うち2線はホームに面せず通過線）の構造でした。上りホーム側に駅舎と北口改札があり、ホーム間は跨線橋で結ばれ、その跨線橋上に南口改札がありました。通過待ちの各駅停車が停車する様子は、郊外や下町の駅のような風情を醸し出していました。工事期間中は、仮設駅舎や仮設ホームが設置され、単式ホーム2面2線や島式ホーム1面2線など、構造が変化する時期もありました。

駅名の由来

東北沢駅の名称は、駅が開設された当時の地理的な位置に由来しています。駅所在地が「荏原郡世田ヶ谷町下北沢」の東端にあたる地域だったことから、「下北沢の東」という意味合いで「東北沢」と名付けられたとされています。

利用状況

2023年度（令和5年度）における東北沢駅の1日平均乗降人員は7,599人です。これは小田急線全70駅の中で65位にあたります。近年は利用客数が減少傾向にあり、小田急線の複々線区間にある駅の中では最も利用者が少ない駅となっています。東京都内の小田急線の駅としても、南新宿駅に次いで2番目に少ない数字です。

駅周辺

東北沢駅周辺は、宇田川（渋谷川水系）と北沢川（目黒川水系）の分水嶺にあたる台地の尾根筋に位置しています。そのため、隣接する代々木上原駅方面および下北沢駅方面へはそれぞれ下り勾配となっています。かつてはこの尾根上に三田用水が通っており、駅の下を流れていました。

駅の東側では、東京都道420号鮫洲大山線が交差しており、この辺りはほぼ渋谷区と世田谷区の区境となっています。北口から鮫洲大山線沿いにかけては商店街が形成されています。この商店街周辺は世田谷区と渋谷区にまたがっており、地域のお祭りなどでは、北澤八幡神社と代々木八幡宮の「睦会」が集まるなど、地域境界ならではの様相を見せることがあります。駅周辺の大部分は、戸建て住宅の多い閑静な住宅地が広がっています。

駅周辺には、世田谷北沢三郵便局、世田谷区立北沢公園、松蔭大学附属松蔭中学校・高等学校などの施設があります。また、近隣には東京大学 駒場リサーチキャンパスや、京王井の頭線の池ノ上駅も徒歩圏内にあります。東京消防庁関連の施設も複数点在しています。

バス路線

東北沢駅には駅前ロータリーが整備されており、「東北沢駅」停留所から京王バスの路線が発着しています。2021年（令和3年）4月1日からは、駅前ロータリーへの乗り入れ開始に伴い、それまで路上にあった停留所から幡ヶ谷折返所までの区間が廃止されました。また、2023年（令和5年）3月1日より、日中時間帯のみ笹塚駅まで延伸され、渋65系統として東北沢・笹塚循環の運行が開始されました。この路線は東急バスから京王バスに移管されたものです。

現在運行されている主な路線は以下の通りです。

渋55：渋谷駅行
渋65：東北沢・笹塚循環（笹塚駅方面、渋谷駅方面）

隣の駅

小田急電鉄小田原線において、東北沢駅に停車するのは各駅停車のみです。隣の駅は、新宿方面が代々木上原駅（OH 05）、小田原方面が下北沢駅（OH 07）です。快速急行、通勤急行、急行、通勤準急、準急はすべて通過します。

（参考：小田急電鉄のデータおよび東京都統計年鑑）

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