東邦亜鉛

東邦亜鉛株式会社

東邦亜鉛株式会社（とうほうあえん、英: Toho Zinc Co., Ltd.）は、日本の非鉄金属メーカーであり、亜鉛、鉛、銀の製錬を主力事業としています。国内では鉛の生産量がトップであり、亜鉛と銀もトップクラスのシェアを誇ります。国内製錬事業に加えて、オーストラリアでの鉱山開発などの資源事業、電子部品・材料事業、電炉メーカーから排出されるダストや使用済み電池を処理するリサイクル事業、機器部品事業など、幅広い分野で事業を展開しています。東京証券取引所のプライム市場に上場しています。

事業所所在地

本社・支店

本社: 東京都港区虎ノ門三丁目18番19号 UD神谷町ビル
大阪支店: 大阪府大阪市西区阿波座一丁目3番15号 関電不動産西本町ビル
名古屋支店: 愛知県名古屋市中村区名駅三丁目11番22号 IT名駅ビル

生産拠点

安中製錬所: 群馬県安中市中宿1443
金属・リサイクル事業本部が管轄し、亜鉛、カドミウム、機器部品などを生産しています。
小名浜製錬所: 福島県いわき市小名浜字芳浜10
金属・リサイクル事業本部が管轄し、亜鉛焼鉱を生産、リサイクル事業の拠点です。
藤岡事業所: 群馬県藤岡市中387
電子部材・機能材料事業本部が管轄し、電子部品や電子材料を生産しています。

沿革

1937年2月: 日本亜鉛製錬株式会社として設立。
1937年6月: 安中製錬所が操業を開始。
1941年9月: 東邦亜鉛株式会社に社名変更。
1949年5月: 東京証券取引所と大阪証券取引所に上場。
1950年3月: 契島製錬所を買収。
1963年9月: 小名浜製錬所が操業を開始。
1966年8月: 藤岡製錬所が操業を開始。
1988年6月: 藤岡製錬所を藤岡事業所に名称変更。
2022年3月: 契島製錬所を子会社の東邦契島製錬に承継。
2023年4月3日: 日経平均株価の構成銘柄から除外。

事業部・主な製品

亜鉛・鉛事業本部

電気亜鉛
カドミウム
電気鉛
電気銀
ビスマス
硫酸
石膏

資源事業部

亜鉛・鉛鉱石

電子部品事業部

コイル

電解鉄事業部

電解鉄

プレーティング事業部

金めっき
銀めっき
ニッケルめっき

機器部品事業部

焼結合金加工品
タイヤホイール用バランスウェイト

環境・リサイクル事業部

酸化亜鉛
硫酸銅

グループ企業

国内子会社

株式会社ティーディーイー
安中運輸株式会社
東邦契島製錬株式会社
契島製錬所: 広島県豊田郡大崎上島町東野5562-1（鉛製錬所で、鉛、銀、ビスマスなどを生産）
契島運輸株式会社
東邦キャリア株式会社
株式会社中国環境分析センター

在外子会社

CBH Resources Ltd.

出来事

鉱山保安法違反

1968年9月以降、安中製錬所がカドミウムの発生源として群馬県議会や国会で問題視されるようになりました。1969年の通産省東京鉱山保安監督部の調査では、認可を受けずに亜鉛電解槽、亜鉛華の焼結基、電気炉を設置していたことが判明しました。同年7月には所長が鉱山保安法違反で前橋地検に書類送検され、同年8月には安中市住民から製錬所と所長らを告発する動きがありました。1970年5月14日、前橋地方裁判所は元所長ら2人に執行猶予付きの有罪判決、会社側には求刑よりも重い罰金を科す判決を言い渡しました。

環境問題

同社は、安中製錬所から発生した鉱滓（スラグ）を複数の建設会社に販売していましたが、このスラグには土壌汚染対策法で定められた環境基準を大幅に超える鉛やヒ素が含まれていました。2019年の内部調査により、これらのスラグの一部が別の建設会社に転売され、群馬県内の住宅の庭や公園の駐車場など数十カ所で砂利として使用されていたことが明らかになりました。同社は、約70億円をかけて回収や撤去を実施するとしています。

亜鉛製錬事業からの撤退

2024年12月18日、同社は事業再生計画を発表し、亜鉛製錬事業から撤退することを決定しました。安中製錬所の主要設備は2025年3月末までに停止する予定です。この背景には、オーストラリアの亜鉛鉱山の操業不振による大きな損失がありました。

脚注

出典

関連項目

安中公害訴訟
東邦亜鉛所有の私有貨車
タキ15600形貨車
トキ25000形貨車
タキ1200形貨車
契島
篠井金山

外部リンク

東邦亜鉛

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