東郷町宍野

概要

東郷町宍野（とうごうちょうししの）は、鹿児島県薩摩川内市に位置する大字です。かつては薩摩国薩摩郡に属し、東郷宍野村、上東郷村大字宍野、東郷町大字宍野と変遷を経て、現在の薩摩川内市東郷町宍野となりました。

郵便番号は895-1101で、2020年10月1日現在の人口は170人、世帯数は73世帯です。面積は2.21平方キロメートルと小規模な地域です。

地理

薩摩川内市の西北部に位置し、川内川水系田海川の中流域にあります。地理的には、田海川に沿って形成された盆地状の地形が特徴で、周辺は宍野田圃と呼ばれる田園地帯が広がっています。集落の周囲約2.12平方キロメートルは水田として利用されています。北には東郷町藤川、南から西にかけては田海町、東には東郷町鳥丸が隣接しています。

字域の中央部を南北に鹿児島県道46号阿久根東郷線が走り、集落の西端で東方向にカーブしています。西部には、とうごう五色親水公園があり、キャンプ場などの施設が整備されています。また、宍野上集落には軍神社があり、その付近には宍野殿山と呼ばれる森が存在します。この森は、かつて宍野を治めていた宍野氏の居城跡と伝えられています。

歴史

宍野の成立と中世

「宍野」という地名は鎌倉時代から見られ、薩摩国東郷の一部でした。東郷氏6代当主である東郷氏親の長男、重勝がこの地を領有し、宍野氏を称するようになりました。文献上では、戦国時代から安土桃山時代のものとされる「薩摩出水公方方向用途支配注文」に「宍野六町 一貫文」と記されているのが初見と考えられています。

宍野の近世

江戸時代には、薩摩藩の支配下である薩摩郡東郷（外城）に属していました。「天保郷帳」や「郡村高辻帳」などによると、村高は352石余りから355石余りで推移していました。

1888年（明治21年）には、鳥丸巡査駐在所が設置され、地域の治安維持に貢献しました。この駐在所は、1959年（昭和34年）に藤川警察官駐在所を統合しました。

町村制施行以後

1889年（明治22年）の町村制施行により、宍野村を含む6つの村が合併し、上東郷村が成立しました。これにより、宍野村は上東郷村の大字「宍野」となりました。1952年（昭和27年）に上東郷村は東郷村に改称し、同日に町制を施行して東郷町となりました。

1994年（平成6年）には、田海川沿いにとうごう五色親水公園がオープンしました。2002年（平成14年）には、字域の一部が隣接する鳥丸に編入されるなどの変更がありました。2004年（平成16年）には、東郷町が川内市などと合併し、薩摩川内市となりました。この合併に伴い、大字名は「東郷町宍野」と改称されました。

字域の変遷

字域の変遷については、詳細な記録は少ないものの、合併や編入によって現在の形に至っています。

人口

1995年以降の国勢調査によると、人口は減少傾向にあります。

文化財

薩摩川内市指定の文化財として、宍野殿古石塔群があります。これは歴史的な資料として貴重なものです。

施設

公共施設としては、とうごう五色親水公園や薩摩川内警察署鳥丸駐在所があります。また、地域住民の信仰を集める軍神社も存在します。

教育

小中学校の学区は、薩摩川内市の教育委員会によって定められています。

交通

主要道路として鹿児島県道46号阿久根東郷線が通っています。しかし、2021年現在、路線バスは運行されておらず、薩摩川内市が運営する予約制のデマンド交通「ゆったり号」が利用可能です。

脚注

本記事の内容は、以下の参考文献を基に作成されました。

参考文献

東郷町郷土誌編集委員会『東郷町郷土史』東郷町、1969年。
角川日本地名大辞典編纂委員会『角川日本地名大辞典 46 鹿児島県』角川書店、1983年。ISBN 978-4040014609。
芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。ISBN 978-4582910544。
東郷町郷土誌編纂委員会『東郷町郷土史 続編』東郷町、2003年。
* “令和3年度薩摩川内市の教育” (PDF). 薩摩川内市教育委員会. 2021年5月30日閲覧。

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