東雲湖

東雲湖：北海道の秘境にひっそりと佇む神秘の湖

東雲湖（しののめこ）は、北海道上士幌町に位置する、周囲わずか800メートルほどの小さな自然湖です。別名、東小沼（ひがしこぬま）とも呼ばれ、その名の通り、静寂に包まれた隠れた名所として知られています。日本の秘境100選にも選出され、支笏湖近くのオコタンペ湖、阿寒摩周のオンネトーと並び、北海道三大秘湖の一つに数えられています。しかし、他の二つの湖とは異なり、東雲湖へは直接つながる道路がありません。このアクセス方法の困難さが、かえって湖の神秘性を際立たせていると言えるでしょう。

東雲湖の地理と現状

大雪山国立公園に属する東雲湖は、然別湖から東へわずか700メートルの場所に位置しています。周囲はクマザサの丘と岩場が取り囲み、独特の景観を形成しています。然別火山群の噴火によって生まれた爆裂火口であるため、独特の地形が生まれています。

湖内にはヨシ（アシ）が生い茂っていますが、湖に流入する河川がないため、枯れたヨシが湖底に堆積し続けています。このため、水位は徐々に低下しており、近い将来、湖が消滅する可能性も懸念されています。この事実は、東雲湖の儚さと、自然の移ろいの激しさを感じさせるものです。

東雲湖に息づく生き物たち

東雲湖周辺は豊かな自然環境に恵まれ、様々な動植物が生息しています。展望台付近の岩場は、ナキウサギの生息地として知られています。時折聞こえる甲高い鳴き声は、この秘境の静けさの中に、野生動物の息吹を感じさせてくれます。また、湖内にはエゾサンショウウオが生息しており、水中の生態系を支えています。

周辺には、ゴゼンタチバナやイソツツジなどの高山植物が咲き誇る、まさに高山植物の宝庫となっています。これらの植物たちは、東雲湖の周囲を彩り、訪れる人々に感動を与えてくれます。

東雲湖へのアクセス方法

東雲湖への直接の道はありません。そのため、アクセスには工夫が必要です。最も一般的な方法は、然別湖畔温泉付近から白雲山登山道をトレッキングする方法です。南側の斜面から東雲湖全景を見渡せる展望地までは、徒歩でアクセスできます。

もう一つの方法は、然別湖畔温泉の桟橋からカヌーやカヤック、手漕ぎボートなどを利用する方法です。東雲湖展望地西側の旧桟橋に上陸した後、山道を約15分歩けば展望地に到着します。いずれの方法も、自然を満喫しながらのアクセスとなります。

東雲湖周辺の魅力

東雲湖は、大雪山国立公園という雄大な自然の中に位置しています。周辺には然別湖畔温泉があり、トレッキングの疲れを癒すのに最適です。また、駒止湖など、近隣には他の湖沼も点在し、複数の湖を巡る旅も楽しめます。東雲湖を訪れる際は、周辺の観光スポットも合わせて計画すると、より充実した旅になるでしょう。

東雲湖の未来

水位低下という課題を抱える東雲湖ですが、その希少な自然環境は、多くの人の心を惹きつけ続けています。これからも、この神秘的な湖が、多くの人の記憶に残る場所であり続けることを願わずにはいられません。訪れる際には、自然環境への配慮を忘れずに、静寂な美しさに浸りましょう。

もう一度検索