然別火山群

然別火山群：北海道に息づく大自然の神秘

然別火山群は、北海道の鹿追町、上士幌町、士幌町にまたがる火山群で、大雪山国立公園内に位置しています。この地域は、約30万年前から続く火山活動によって形成され、独特な地形と生態系が育まれています。

新期火山群と旧期火山群

然別火山群は、大きく新期火山群と旧期火山群に分けられます。

新期然別火山群: 然別湖南側に位置し、安山岩やデイサイトで構成された10個の溶岩ドームからなります。これらの溶岩ドームは約30万年前以降に形成され、最新の活動は2万年前よりも新しいとされています。火山活動に伴い、火砕流が南方に堆積し、広大な火砕流堆積面を形成しました。代表的な山として、西ヌプカウシヌプリ、東ヌプカウシヌプリ、白雲山、天望山、岩石山などがあります。
旧期然別火山群: 成層火山の北ペトウトル山と南ペトウトル山が、然別湖の西側で活動していました。さらに古い時代の火山活動によって、ナイタイ山が形成されました。

然別湖の誕生

ヤンベツ川の正面に西ヌプカウシヌプリ溶岩ドームと東ヌプカウシヌプリ溶岩ドームが成長したことで、川が堰き止められ、堰止湖である然別湖が誕生しました。この湖は、火山活動が生み出した自然の恵みであり、美しい景観を作り出しています。

登山と自然観察

然別火山群の主要な溶岩ドームには登山道が整備されており、登山を楽しむことができます。しかし、登山道にはガレ場（岩塊斜面）が多いため、注意が必要です。ガレ場にはナキウサギが生息しており、運が良ければその姿を観察することができます。また、ガレ場は多くの風穴を作り出し、そこから出入りする空気の影響で、2000m級の高山に分布する高山植物が育つという特異な環境が生まれています。

その他の地形

然別火山群には、東雲湖や駒止湖といった爆裂火口湖も存在します。これらの湖は、火山活動によって形成されたものであり、独特の景観を見せています。

然別火山群を訪れる

然別火山群は、その美しい景観と貴重な生態系から、大雪山国立公園の一部として保護されています。また、とかち鹿追ジオパークにも指定されており、地域の自然や文化について学ぶことができます。

然別火山群を訪れる際は、以下の点に注意してください。

登山道はガレ場が多いため、適切な装備を準備する。
天候が変わりやすいため、雨具を必ず持参する。
野生動物に遭遇する可能性があるため、注意する。
国立公園内の動植物を採取しない。

然別火山群は、火山活動が生み出した自然の神秘と、そこに息づく多様な生態系を体験できる場所です。ぜひ一度、この地を訪れて、大自然の息吹を感じてみてください。

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