松本進

松本進（まつもと すすむ）

1941年12月7日、愛知県に生まれた松本進は、1963年に競艇選手としてデビューしました。連合会養成14期生として登録され、同期には酒井忠義がいます。デビュー戦は津競艇場でした。

卓越した整備力とレーススタイル

松本は、体重ハンデを抱えながらも、そのハンデを克服するために整備とプロペラにいち早く着目しました。特にセンターからの迫力あるレースは、多くのファンを魅了しました。

1976年には、その活躍が認められ選手表彰で特別賞を受賞。表彰式では、笹川良一会長から「立派な髭だね。髭に負けんように」と激励されたというエピソードも残っています。

1977年には、津競艇場開設25周年記念競走と蒲郡競艇場開設22周年記念競走で優勝を飾ると、同年8月30日の浜名湖モーターボート記念競走では3着と健闘しました。

悲願のSG制覇

同年10月11日、福岡競艇場で開催された第24回全日本選手権競走（現在のボートレースダービー）で、松本は最内から好スタートを決め、見事優勝を果たしました。このレースでは、連覇を狙う野中和夫、特別競走3連勝を目指していた加藤峻二、地元勢の岡本義則・八尋信夫、そして同期の島也茂といった強豪を抑えての勝利でした。この優勝は、愛知の選手としては初のダービー制覇であり、松本自身にとっても唯一のSGレース制覇となりました。

この優勝には、前検日から始まる興味深い裏話があります。松本は、前検日の2日前から博多に入り、ゴルフやネオン街で楽しんでいましたが、55㎏まで絞っていた体重が、飲食によって59㎏まで増えてしまいます。開催中、他の選手が気にせず食事をする中、松本は牛乳とかき氷で減量に励みました。風邪で38度の熱を出しながらも、予選を2・1・4・1着で通過。予選最終レースでは、先行する野中を2周目の2マークで逆転し、連勝を4で止める活躍を見せました。準優勝戦ではコンマ04のスタートで逃げ切り、体重も55㎏に戻していました。優勝後、中洲で祝勝会が開かれましたが、翌朝には体重は59㎏に戻っていたそうです。

引退とその後

1999年3月14日のびわこ競艇場でのレースが最後の優出となり、4着に終わりました。同年4月22日の徳山競艇場でのレースで通算1989勝目を挙げるも、これが最後の勝利となりました。2000年と2001年は出走がなく、2002年3月5日の常滑競艇場でのレースを最後に引退しました。

引退後は、日本モーターボート選手会碧南訓練所の所長を務める傍ら、競艇専門誌「マクール」で「松本進の今日も飲もまい」を連載していました。2013年には、ボートレース殿堂マイスターにも選出されています。

晩年

2016年1月4日、松本進は74歳で生涯を閉じました。葬儀には、かつてのライバルであった野中和夫も参列しました。

主な獲得タイトル

1969年 - 蒲郡開設14周年記念競走
1973年 - 東海地区選手権競走（常滑）
1977年 - 第24回全日本選手権競走（福岡）、津開設25周年記念競走、蒲郡開設22周年記念競走
1979年 - 福岡開設26周年記念競走
1984年 - 常滑開設31周年記念競走

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