松殿兼嗣

松殿兼嗣（まつどの かねつぐ）

松殿兼嗣は、鎌倉時代中期に活躍した公卿です。藤原北家松殿流の嫡流に生まれ、父は大納言を務めた松殿忠房です。彼の生涯は、公卿としての道を歩み、最終的には正二位・参議にまで昇りました。

出自

松殿家は、藤原北家の中でも松殿流という家系に属します。初代は祖父である松殿基房ですが、治承・寿永の乱の際に基房とその叔父である師家が失脚しました。その後は、父である松殿忠房の直系の子孫が家を継承していくことになります。兼嗣は忠房の子であり、兄に松殿良嗣、甥に松殿冬房がいます。また、子には松殿通輔、孫には松殿忠嗣がいます。

経歴

父・忠房は、24歳で権大納言、33歳で大納言という高い地位に上り詰めました。これは、当時の三条家や久我家といった清華家の当主たちと比較しても遜色のない昇進速度でした。九条道家・一条実経父子の失脚時には、忠房が摂関の候補者にも挙がりましたが、最終的には実現しませんでした。忠房は大納言の地位に22年間留まり、兼嗣が9歳の時に出家しました。

兼嗣自身の経歴としては、建長4年（1252年）に従五位・侍従に任官し、翌建長5年（1253年）には正五位・左近衛少将に昇進しました。その後も順調に昇進を重ね、建長6年（1254年）に従四位下・甲斐介、建長7年（1255年）に左近衛中将、建長8年（1256年）に従四位上、正嘉2年（1258年）に正四位下となりました。弘長元年（1261年）には従三位に昇り、公卿の仲間入りを果たします。

さらに、弘長2年（1262年）には丹波権守、弘長3年（1263年）に正三位を経て、文永6年（1269年）には参議に昇進しました。その後も官位は上がり続け、弘安6年（1283年）に従二位、弘安9年（1286年）には正二位に達しましたが、参議の地位に20年以上留まりました。皇統が大覚寺統から持明院統に移った直後の正応3年（1290年）に出家しました。

系譜

父：松殿忠房（1193-1273）
母：藤原重隆の娘
妻：不詳
男子：松殿通輔（本名兼輔） - 正二位・参議
* 女子：正親町実明室

松殿兼嗣は、鎌倉時代中期における公卿社会において、一定の地位を築いた人物と言えるでしょう。

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