松江・米子 テレビ・FM放送所

松江・米子テレビ・FM放送所

概要

「松江・米子テレビ・FM放送所」は、島根県松江市にある枕木山（まくらぎさん）と澄水山（しんじさん）に設けられた、テレビジョン放送とFMラジオ放送の主要な送信施設群の総称です。山陰地方における放送電波の重要な供給源であり、NHK松江放送局の親局、島根・鳥取両県を放送エリアとする民放各局の親局または基幹中継局、さらに鳥取県米子市およびその周辺地域をカバーするNHK鳥取放送局の米子中継局などが設置されています。これらの施設は、主に二つの山、枕木山と澄水山に分散して配置されているのが特徴です。

施設の配置

かつてアナログ放送の時代には、VHF帯を使用していたNHK松江と山陰放送（BSS）の本社送信所、そしてNHK鳥取のUHFアナログ米子中継局が枕木山に設置されていました。一方、UHF帯を使用していた日本海テレビジョン放送（NKT）松江基幹中継所と山陰中央テレビジョン放送（TSK）松江本社送信所は澄水山に置かれていました。デジタル放送への移行後、NKTの親局は鳥取県内にありますが、その他のデジタルテレビジョン放送局は、アナログUHF局が置かれていた経緯もあり、澄水山に集約されました。現在、枕木山にはNHK鳥取のデジタルテレビ米子中継局、NHK松江のFMラジオ送信所、そしてBSSのFM補完中継局が置かれています。澄水山には、NHK鳥取およびNKTを除くデジタルテレビ全局（NHK松江、BSS、TSK）の本社送信所、FM山陰の送信所（TSK施設に間借り）、ならびにNKT松江基幹中継所が設けられています。

放送区域と特性

この放送所からの電波が届くエリアは広範にわたります。民放の地上デジタル放送における正規の放送区域は、鳥取県境港市および日吉津村の全域、さらに島根県松江市、出雲市、安来市、雲南市、鳥取県米子市、大山町、伯耆町の各一部を含み、約19万5千世帯をカバーしています。NHKについては、県域放送という特性から、NHK松江放送局（親局）は鳥取県境港市の全域と、松江市、出雲市、安来市、雲南市、鳥取県米子市の各一部を対象とし、約17万8千世帯をカバーしています。対照的に、枕木山に設置されているNHK鳥取放送局の米子中継局は、鳥取県境港市および日吉津村の全域、そして米子市、大山町、伯耆町、島根県松江市、安来市の各一部を対象とし、約1万6千世帯が放送区域に含まれています。NHKは県域放送のため、電波が相手の県に過度に漏洩しないよう、送信アンテナに指向性が設定されています。しかし、松江と米子の地理的な位置関係や地形の影響もあり、完全に電波の干渉を防ぐことは難しく、特に島根県安来市や松江市の中海沿岸地域、鳥取県境港市や米子市周辺地域では、NHK松江とNHK鳥取の両方の総合テレビが受信可能な場合があります。この状況を反映して、地域のケーブルテレビ局である「やすぎどじょっこテレビ」や「中海テレビ放送」（伯耆町有線テレビ放送エリアを含む）では、NHK総合テレビを島根・鳥取の両方ともパススルー方式で再放送しているほどです。鳥取県西部地方、特に米子周辺は、歴史的に松江方面からの電波が届きやすい地域でした。NHK鳥取放送局の米子中継局は、かつて米子市内に設置されていた施設や周辺の小規模中継局を統合する形で、NHK松江の親局施設に併設される形で設けられました。一方、民放各局は島根・鳥取両県を一つの放送エリアとしているため、米子地域に特化した特別な中継局は設置されていません。

歴史

松江・米子放送所の歴史は、テレビジョン放送の開始と共に始まりました。1959年10月28日にはNHK松江放送局の総合テレビが、同年12月15日には山陰放送（BSS）のテレビ放送がそれぞれ開局しました。続いて1962年12月28日にはNHK松江放送局の教育テレビが開局し、山陰地方におけるテレビ放送の基盤が整備されました。FMラジオ放送としては、1969年3月1日にNHK松江放送局のFM放送が開局しています。民放テレビ局では、1969年12月15日に島根放送（後の山陰中央テレビジョン放送、TSK）が試験放送を開始し、翌1970年4月1日に本放送を開始しました。1972年9月22日には、鳥取県の日本海テレビジョン放送（NKT）が松江中継局を開局させ、山陰両県の民放テレビ4波が出揃いました。FM民放では、1986年10月1日にエフエム山陰が開局しています。NHK鳥取放送局の総合テレビ米子中継局は、比較的遅れて1998年11月26日に開局しました。地上デジタル放送への移行は2000年代に入って進められました。2005年11月15日には、NHK鳥取米子中継局を除く各局に地上デジタル放送の予備免許が交付され、2006年7月28日にはNHK鳥取米子中継局にも予備免許が交付されました。同年8月1日には全局で試験電波の発射が開始され、澄水山山頂で竣工式が行われました。8月25日には一般の受信機で視聴可能な試験放送が始まり、9月1日からはアナログ放送とのサイマル放送およびワンセグ放送も開始されました。正式な無線局免許状は9月28日に交付され、2006年10月1日から全局で地上デジタル放送の本放送が開始されました。これに伴い、アナログ放送は2011年7月24日正午をもって通常の番組を終了し、同日24時までに完全に停波して廃局となりました。放送以外の動きとしては、2014年1月23日にはジャパン・モバイルキャスティングがマルチメディア放送の中継局を設置しましたが、この中継局は2016年6月3日に閉局しています。

送信施設詳細

各施設の正確な所在地は以下の通りです。地上デジタルテレビジョン放送の送信所は、枕木山が島根県松江市邑生町字庄ヶ谷に、澄水山が島根県松江市島根町加賀4757番地12号に位置しています。地上アナログテレビジョン放送の送信所は、枕木山が島根県松江市枕木町487番地に、澄水山ではTSKが島根県松江市上本庄町字小屋谷2331番地に、NKTが島根県松江市福原町903ツ16番地にそれぞれ置かれていました。FMラジオ放送の送信所は、枕木山が島根県松江市枕木町487番地に、澄水山が島根県松江市上本庄町字小屋谷2331番地にあります。なお、エフエム山陰の送信施設は、TSKの施設の一部を間借りして運用されています。地上デジタル放送のリモコンキーIDについては、鳥取県および島根県の割り当ては、特に1番と3番において鳥取県のアナログテレビのチャンネルパターンが踏襲されています。この結果、富山県のリモコンキーIDおよび物理チャンネルのパターンと全く同一になっています。

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