柳内達雄

柳内達雄について

柳内達雄（やなうち たつお）は、1911年9月9日に東京神田で生まれ、1978年6月23日に生涯を閉じた日本の教育・児童文化評論家です。彼は、東京府青山師範学校（現在の東京学芸大学）を卒業後、小学校教師として教鞭を執りました。特に、作文（綴方）教育に情熱を注ぎ、日本作文の会では常任委員を務めました。

戦時中の活動

1944年、柳内は東京都世田谷区立代沢国民学校（現在の世田谷区立代沢小学校）に勤務していました。当時、集団疎開先の浅間温泉で受け持った学童たちに「鉛筆部隊」という名前を与え、家族や戦地にいる兵士への手紙を書くことを奨励しました。この活動を通して、近くの松本飛行場にいた特別攻撃隊員と学童との間に交流が生まれました。この出来事は、後にきむらけんの著書『鉛筆部隊と特攻隊－もう一つの戦史－』（彩流社、2012年）で紹介されています。

戦後の活動

戦後、1946年に柳内は藤田圭雄らと共に児童雑誌「赤とんぼ」を実業之日本社から創刊しました。「赤とんぼ」は、良心的な児童雑誌として高い評価を受け、ケストナーの『飛ぶ教室』の翻訳や、竹山道雄の『ビルマの竪琴』、新美南吉の遺稿などが掲載されました。

教育者としての側面

柳内は、教科書に捉われない独自の教育方法を実践しました。小学校の教え子であった和田誠は、柳内が教科書をあまり使用せず、「赤とんぼ」や石井桃子訳の『くまのプーさん』を教材として活用するユニークな先生であったと回想しています。

受賞歴

1958年、柳内は『私たちの詩と作文』で産経児童出版文化賞を受賞しました。

著書

柳内は、教育に関する多数の著書を執筆しました。以下は主な著書の一部です。

『私たちのクラブ活動 1 文芸』（三十書房、1955年）
『文字とことばの教室 2年生』（三十書房、1955年）
『みんなでやろう私たちの詩と作文』（国土社、1957年）
『ことばの本』（学習研究社、1957年）
『作文指導の技術』（牧書店、1959年）
『詩と作文の教室 2年生』（三十書房、1962年）
『詩と作文』（国土社、1964年）
『文字とことばの力をのばす 2年生』（盛光社、1966年）
『作文と詩の力をのばす 1-2年生』（盛光社、1966年）
『作文がすきになる本 1・2-5・6年生』（あかね書房、1972-75年）
『花 詩と作文の指導』（あかね書房、1979年）

共編著

『小学生教室事典』（牧書店、1951年）
『よい文の書きかた 私たちの文集』（牧書店、1952年）
『作文の時間 指導の実際』（牧書店、1953年）
『私たちの学習生活事典』（牧書店、1956年）
『楽しい行事学校生活百選』（小峰書店、1965年）
『二ねん生・文章の書きかた 小学生・文章読本』（あすなろ書房、1977年）

参考資料

日本近代文学大辞典

関連項目

日本の小説家一覧
児童文学作家一覧

柳内達雄は、教育者として、また児童文化評論家として、多岐にわたる活動を通じて、日本の教育と児童文化の発展に大きく貢献した人物です。彼の教育に対する熱意と革新的な視点は、現代においても学ぶべき点が多くあります。

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