柳原資廉(やなぎわら すけかど)
柳原資廉は、
江戸時代前期から中期にかけて活躍した
公卿であり、
柳原家12代当主です。権
大納言・柳原資行の次男として生まれ、母は権
大納言園基音の娘で、
霊元天皇の
国母である新広義門院の妹にあたります。このため、
霊元天皇とは母方の従兄弟同士という間柄にあり、この縁戚関係が資廉の出世を後押しする大きな要因となりました。
生涯
正保元年(
1644年)に
京都で生まれた資廉は、兄・方光が病弱だったため、
柳原家の世子となります。
慶安3年(
1650年)に
後光明天皇の時に叙爵され、
明暦3年(
1657年)の元服とともに初めて
昇殿し、
後西天皇に拝謁しました。
寛文12年(
1672年)には
蔵人頭に任じられ、翌年には
参議・右大弁へと昇進しました。
天和元年(
1681年)から
貞享4年(
1687年)にかけては権
大納言を務め、
貞享元年(
1684年)から
宝永5年(
1708年)にかけては
武家伝奏として幕府との折衝にあたり、朝廷の中枢で活躍しました。その功績により、最終的には
従一位まで昇進しています。
正徳2年(
1712年)、69歳で薨去し、
京都市
上京区の浄福寺に葬られました。
元禄14年(
1701年)3月、資廉は
東山天皇の
勅使として、
高野保春とともに
江戸へ下向しました。この際、
浅野長矩は幕府から両名の接待係を命じられていました。しかし、3月14日に
浅野長矩が職務を放棄し、刃傷事件を起こしたため、事態は急変しました。
この時、幕府老中は、勅答の儀式を続行すべきかどうかを資廉に伺いを立てました。資廉は吉良上野介の出血について「穢れ事に及ぶものではない」として儀式の続行を指示しました。資廉の冷静な判断により、
勅使饗応役は
浅野長矩から
戸田忠真に変更され、場所も白書院から黒書院へと移されましたが、儀式は滞りなく執り行われました。
資廉は
日記『関東下向道中記』において、事件当日の状況を「馳走人浅野内匠、乱気。勅答の儀に役を放りて凶事をおこす。言語に絶するなり」と記し、
浅野長矩の即日
切腹処分を当然としています。また、同
日記には、事件後、無事に儀式が終了したことに対し「大悦至極也」と記しています。
家族
父:柳原資行
母:園基音の娘
妻:不詳
男子:柳原資堯
女子:北小路徳光室
養子:柳原秀光(中御門資熙の子)
関連項目
勅使
朝儀