柳沢峠

柳沢峠（やなぎさわとうげ）は、山梨県甲州市に位置する標高1472mの峠です。国道411号（青梅街道）が通り、同街道の最高地点となっています。晴天時には富士山の眺望が素晴らしく、写真撮影の名所としても知られています。

歴史

江戸時代まで、青梅街道は柳沢峠ではなく、より標高の高い大菩薩峠（1897m）を経由していました。大菩薩峠への道は幅が狭く、通行が困難な青梅街道最大の難所であり、遭難者も多く出ていました。しかし、甲州街道よりも距離が短く、関所がないため、利用者は多かったようです。塩山側の麓には萩原口留番所跡が残っています。

江戸（東京）から甲府へ至るには、甲州街道を経由する場合、都県境（小仏峠または大垂水峠）と笹子峠の二つの峠を越えなければなりません。一方、甲州裏街道とも言える青梅街道経由であれば、大菩薩峠を一つ越えるだけで済みました。峠の標高自体は甲州街道経由の方が低いものの、越える回数を考慮すると、青梅街道経由にも利点があったと言えるでしょう。

[明治]]時代に入り、県令の藤村紫朗の主導によって民費で道路改修が行われることになりました。しかし、大菩薩峠に車道を通すのは困難であったため、1878年（明治11年）に現在の柳沢峠経由の道路が開削されました。この開削後、青梅街道はルートを大菩薩峠経由から柳沢峠経由に変更されました。現在でも青梅街道の重要な地点であり、中央自動車道や甲州街道（国道20号）の混雑時（渋滞時）には、東京方面への迂回路として交通量が増加することがあります。近年では、2012年]12月に発生した[[中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故により同道路が約2ヶ月にわたり通行止めとなった際にも、迂回路の一つとして機能しました。

しかし、現在でもおいらん淵（北都留郡丹波山村から甲州市に差し掛かる地点）より西側は、勾配が8%程度の急峻な山道となっています。また、柳沢峠を越えると裂石温泉に到着しますが、峠の甲府盆地側もかなりの急勾配です。特に冬季は、この峠の前後の山間部は積雪や凍結の条件が重なるため、車両の通行にはタイヤチェーンやスノータイヤの装着が必須となります。

施設・その他

峠には公営駐車場、水洗トイレ、売店（柳沢峠茶屋）が設置されています。ただし、公衆電話はなく、携帯電話も電波の状態によっては圏外となり、通話が困難になる場合があります。

なお、峠の北側一帯は多摩川の源流域にあたるため、東京都水道局の水源林（東京都水源林）に指定されています。また、峠頂上の青梅街道沿いには石碑が建てられています。

交通

山梨交通のバスが、塩山駅 - 大菩薩峠登山口 - 柳沢峠 - 落合間を、4月下旬～11月下旬の土日祝日に運行しています。

関連項目

青梅街道
国道411号
大菩薩峠
日本の峠一覧

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