柴紹

柴紹（さいしょう）

柴紹（生年不詳 - 638年）は、中国の唐代初期に活躍した武将。字は嗣昇（ししょう）。本貫は現在の山西省臨汾県。
隋の時代に鉅鹿郡公であった柴慎（さいしん）の子として生まれました。また、唐の高祖李淵（りえん）の三女である平陽公主（へいようこうしゅ）を妻として迎え、皇室との繋がりを持ちました。唐の建国に大きく貢献した功臣として、凌煙閣二十四功臣の一人に数えられています。

生涯

幼少の頃から、柴紹は身軽で大胆、武術に優れ、義侠心に厚い人物として知られていました。隋の時代には、太子千牛備身（たいしせんぎゅうびしん）という役職に任ぜられました。

617年、李淵が太原（たいげん）で挙兵した際、柴紹は危険を冒して太原へ駆けつけました。その途中、李淵の子である李建成（りけんせい）と李元吉（りげんきつ）に出会います。李建成は、手配が厳しく隋の官吏に捕まる危険があるため、今は盗賊に身を寄せた方が安全だと提案しました。しかし、柴紹は、盗賊が李淵の子と知れば手柄のために捕らえられ、無駄死にすると反論しました。

李淵に合流後、柴紹は右領軍大都督府長史（うりょうぐんだいととくふちょうし）に任じられ、唐軍が太原を出発する際には、馬軍総管（ばぐんそうかん）を兼任しました。彼は、霍邑（かくゆう）の城下で宋老生（そうろうせい）の様子を偵察し、宋老生は勇猛ではあるものの思慮が浅いため、唐軍が到着すれば必ず戦いを挑んでくると見抜き、李淵に報告しました。果たして宋老生は出戦してきたため、柴紹はこれを打ち破り、功績を挙げました。その後も、臨汾（りんふん）や絳郡（こうぐん）の平定戦で先頭に立って敵陣を陥れ、右光禄大夫（うこうろくたいふ）に任ぜられました。隋の将軍である桑顕和（そうけんわ）が黄河を渡って侵攻してきた際には、背後から攻撃して打ち破るなど、目覚ましい活躍を見せました。そして、長安への進軍にも参加し、唐の建国に貢献しました。

唐が成立すると、柴紹は左翊衛大将軍（さよくえいだいしょうぐん）に昇進し、臨汾郡公（りんぷんこう）に封ぜられました。その後、李世民（りせいみん）（後の太宗）に従い、薛仁杲（せつじんこう）、宋金剛（そうこんごう）、王世充（おうせいじゅう）、竇建徳（とうけんとく）らの討伐に参加し、数々の戦功を挙げました。霍国公（かくこくこう）に封ぜられ、食邑千二百戸を与えられ、右驍衛大将軍（うぎょうえいだいしょうぐん）に転じました。

吐谷渾（とよくこん）や党項（とうこう）が国境を侵犯した際には、討伐を命じられました。敵が高い場所に陣を構え、柴紹の軍に雨のように矢を射かけた際、柴紹は胡琵琶（こびわ）を演奏させ、二人の女性に舞を踊らせました。敵はこれを奇異に思い、攻撃を止めて様子を窺ったため、敵陣が緩んだ隙に精鋭の騎兵を率いて背後から攻撃し、打ち破りました。

627年には右衛大将軍（うえいたいしょうぐん）となり、628年には梁師都（りょうしと）を平定した功績により、左衛大将軍（さえいたいしょうぐん）に転じました。

633年には鎮軍大将軍（ちんぐんだいしょうぐん）を加えられ、右驍衛大将軍を代行し、譙国公（しょうこくこう）に改封されました。

638年、病に倒れた柴紹は、太宗の見舞いを受けましたが、間もなく亡くなりました。荊州都督（けいしゅうととく）を追贈され、襄（じょう）と諡（おくりな）されました。

子孫

柴紹には、柴哲威（さいてつじ）と柴令武（さいれいぶ）という二人の息子がいました。

柴令武は、太僕少卿（たいぼくしょうけい）や衛州刺史（えいしゅうしし）を歴任しましたが、房遺愛（ぼういあい）らと共に荊王李元景（けいおうりげんけい）を擁立する計画に加担し、事が露見して処刑されました。

柴哲威は、安西都護（あんせいとご）を務めましたが、弟の柴令武の事件に連座して嶺南（れいなん）に流されました。後に許され、交州都督（こうしゅうととく）を務めました。

伝記資料

旧唐書 巻58 列伝第8 「柴紹伝」
新唐書 巻90 列伝第15 「柴紹伝」

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